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法人税の申告、無申告の場合どうなる?無申告の場合に起こることについて解説

法人が無申告だとどうなる?

法人税の申告期限は、原則、事業年度吸終了の日の翌日から2か月以内となります。

一定の要件を満たしていれば、これを延長する手続を行うこともできますが、特に手続きをしていなければ、この期限までに法人税の申告を行わなければなりません。

期限内に申告をしていないことを「無申告」といい、法人が無申告であると、様々なペナルティがあります。

無申告加算税が課せられる

期限後になって法人税の申告書を提出したり、税務署から決定等の処分によって納税額の通知を受けたりすると、その時の納税額に応じた無申告加算税を課されることがあります。

無申告加算税は、基本的に納税額の15%です。

納税額が50万円を超える場合、超過部分には5%の税額が加算されます。

この税を、本来の法人税等の額に上乗せして支払わなければなりません。

尚、期限後に行った申告が、税務署からの調査通知前などで自発的に行われたと認められる場合、無申告加算税の税率は軽減されます。

悪質なケースであ重加算税が課せられる

法人税の課税標準額(≒法人の所得金額)や税計算の基礎となる事実を、隠蔽したり、仮装したりした事実がある場合は、無申告加算税の代わりに、40%の重加算税を課されることがあります。

さらに、過去5年以内にも法人税の申告で無申告加算税や重加算税を課されたことがあれば、重加算税の税率が10%加算され、50%になります。

延滞税が発生する

期限後申告や税務署からの決定等の処分によって納税するとき、法定納期限から遅れた分の日数に対して、延滞税も同時に発生することがあります。

法人税の法定の納期限は、申告期限と同じで、原則、事業年度終了の日の翌日から2か月以内ですが、この翌日から、税額を完納するまでの日数が延滞税の計算対象になります。

青色申告取り消しが行われる

無申告の場合、法人の青色申告の承認が取り消されることもあります。

国税庁の「法人の青色申告の承認の取消について(事務運営指針)」によれば、法人税の申告を2事業年度分、連続して期限内に提出しなかった場合、青色申告の承認を取り消すとしています。

この場合、2事業年目からが取り消しの対象になります。

青色申告の承認を取り消されたときの税務上のリスクは、欠損金の繰越しができなくなることです。

事業年度で発生した欠損金は、青色申告をしている場合に限り、翌事業年度以降に繰り越すことができるものですので、取り消されてしまうと、翌事業年度からの法人の税負担が重くなる可能性があります。

銀行融資を受けることが難しくなる

銀行や政府系金融機関などに融資を申し込む際は、2~3期分ほどの税務申告書の提出が求められることが一般的です。

無申告となれば、必要書類の条件を満たさないばかりでなく、そのような会社が作った財務諸表が信頼に足る情報かどうか怪しく映ってしまいます。

無申告であることについて、やむを得ない事情があれば話は別ですが、そうでない法人が無申告状態で融資を受けることは一般的には難しいと言えます。

取引上の信用消失

脱税によって検挙されたり申告漏れの所得金額が高額であったりすると、ニュースなどで報道されることがあります。

特に著名人であれば、刑事事件でなくでもかなり目立った報道が行われます。

何らかの形で世間に不正が知られてしまうと、通常通り営業を続けることは出来ませんし、これまで築いてきた社会的地位や、取引先や顧客との信頼関係も失ってしまいます。

法人税の無申告には時効がある

無申告だからといって、未来永劫にわたって、その税を納める義務が発生し続けるわけではありません。

法人税の無申告に対し、税務署が決定等の処分を行うことの出来る期間には、時効があります。

法人税の無申告の時効期間は、原則として5年

法人税の無申告者に対し、税務署が決定等の処分を行うことができるのは、原則、法定申告期限から5年となります。

これを過ぎると、国税を徴収するための手続きができなくなってしまう為、国税の時効と考えられています。

偽りその他不正の行為があれば7年

ただし、偽りのその他不正の行為によって税額を免れたと判断された場合、上記の5年の時効は7年となります。

この場合、法人税だけでなく、法人税の無申告加算税などもその対象になります。

法人税無申告の会社は5年間遡って申告

法人税無申告の会社は、5年分(偽りその他不正の行為があれば7年分)も遡って、法人税等を徴収される可能性があります。

無申告の法人は、こうした何年分もの税務申告を、今後遡って申告・納税したり、税務署からの処分によって課税されたりする可能性があるという事です。

法人税の無申告が税務署に知られるケース

法人税を無申告のままやり過ごそうとしても、税務署には必ず嗅ぎつけられます。

どのようなきっかけから、無申告が発覚してしまうかを解説します。

税務署への通報

国税庁の情報窓口に対する、従業員や取引先などからの通報がきっかけで、無申告が発覚することがあります。

「身内なら黙っていてくれるだろう」と考えるのは甘いです。

反面調査

無申告である法人に対してではなく、その取引相手に対する調査で、無申告の実態が解明されてしまうこともあります。

仮に、無申告である法人が自身のオフィスから取引に関わる書類やデータを廃棄・削除していても、きちんと保管している取引相手から発覚してしまうということです。

また、税務署に提出義務のある支払調書については、個人だけでなく法人に対する支払いについても報告対象になるものがありますので、こうした提出義務のある機関との取引から発覚することもあります。

ネット上の取引履歴

「インターネット上の取引なら税務署から捕捉されないだろう」という考えを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ逆です。

このご時世、インターネットで取引ができることは当たり前のことですので、国税局も力を入れて調査しています。

国税庁の「法人税等の調査事績の概要」によれば、無申告法人に対して、ホームページ、SNS、口コミといった、インターネットによる情報収集が幅広く行われていることがわかります。

インターネットで取引をするということは、インターネット上で集客をするケースが多いので、営業実態があることを隠すことは難しいということです。

また、無申告の疑いがあれば、サイトの管理者等に照会し、販売履歴なども調査していると考えられます。

したがって、仮に請求書等のデータを社内から削除しても、販売履歴などから追及される可能性があります。

また、資料を削除して隠蔽すれば、重加算税の対象になる可能性がありますし、場合によっては、「偽りその他不正の行為」があったとされ、法人税法違反として、刑事手続きにより、逮捕や送検、刑事罰(懲役刑や罰金刑、またはその両方)を受ける可能性もあります。

さらに、税務調査では、パソコンやインターネット取引の調査に長けた、「情報技術専門官」という技官が同行することもあります。

取引の情報をもっている上、情報技術にも長けた相手をごまかすことは、まず不可能です。

(参考)「令和元事業年度 法人税等の調査事績の概要」

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf

暗号資産 全国初の有罪判決も

インターネット上の取引手段として、暗号資産は匿名性が高いと考えられているかもしれませんが、この考えも危険です。

令和2年度中、(個人の所得税の事案ではありますが)ビットコインによる利益を申告から除外したとして、全国初の暗号資産の脱税による有罪判決が出ています。

届け出の不備

法人の設立や青色申告の承認申請、給与支払事務所の開設届など、税務に関する届け出は多く存在します。

これらを提出していないことにたいしてペナルティがあるわけではありませんが、いい加減な税務を行っている会社だと疑われてしまう可能性はゼロではありません。

必要な届け出を把握し、期限内に提出することが大事です。

法人税の無申告による税務調査の期間

法人税を無申告のままにしておくと、無申告加算税などのペナルティだけでなく、税務調査の期間が長引きやすいというデメリットもあります。

税務調査の期間が長引けば、本業に集中することができなくなり、結果的に損をしてしまいます。

法人税の無申告による税務調査の期間は、3~6か月ほどかかる場合がある

税務調査は、法人税の申告をしている会社に対しても、無申告の会社に対しても行われます。

申告をしている会社であれば、規模にもよりますが、2日から1週間ほどで終わることが一般的です。

これに対し、無申告の会社は、営業実態等も含めて調査されることが考えられますので、調査の期間は必然的に長引き、中には3~6か月ほどかかるケースもあります。

特に近年、法人に対する税務調査は、調査の必要度の高い法人、言い換えれば追徴税額の発生が見込まれる企業に対象を絞って、調査の効果を上げようとする取り組みが行われています。

国税庁の令和元事務年度の「法人税等の調査事績の概要」にも、法人の申告実績、法定調書、税務職員が独自に収集した資料情報等から分析し、悪質な納税者の抽出に取り組んでいる旨の記載があり、疑いのある会社により深い調査を行っていると考えられます。

法人1件あたりの追徴税額(法人税・消費税・源泉所得税と各加算税)が、平成27事務年度から令和元事務年度まで、増加の一途を辿っていることからしても、間違いないでしょう。

営業実態が認められるのに、無申告である法人は、かなり悪質とみられても仕方ありませんので、徹底的に調査される可能性があります。

通常よりも長くなるケースがある

税務調査の対象期間は、通常は3年(3事業年度分)であることが多いのですが、無申告となると、5年・7年の調査となることがよくあります。

調査対象期間が長くなれば、勿論、調査にかかる日数も長引いてしまいます。

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新宿の税理士「中村太郎」
税理士業界経験20年超。過去、300社を超える会社、さまざまな業種・企業の税務・財務・融資・補助金申請などの業務を経験してきました。その経験と、士業はサービス業であるという精神から、ご満足頂けるご提案やサービス提供が可能であると自負しております。貴社の真のビジネスパートナー、経営者の方の「右腕」として弊社をご活用下さい。