医師が不動産投資を行うべき理由
資産運用の方法は数多くありますが、医師という職業の特性を踏まえると、税制面・時間的制約・信用力といった観点で、不動産投資には多くの利点があります。
ここでは、医師が不動産投資を行うことで得られる主なメリットを6つの側面から整理します。
所得税・住民税の節税効果がある
不動産投資で生じた所得は「不動産所得」に分類されます。
投資を開始した初期の「不動産所得」は建物の「減価償却」により、実際に支出はないものの帳簿上マイナスとなることがあります。
このマイナスは、本業の所得と損益通算(相殺)することができ、本業にかかる所得税・住民税の負担を今よりも少なくすることが可能です。
たとえば、不動産所得が「▲1,000万円」で、本業の所得にかかる所得税や住民税の合計税率が50%であれば、今より約500万円の減税を見込めます。
金融資産など他の投資では得られない効果であり、高所得者であるほどこの節税効果は高くなります。
医師であれば、不動産投資によるこの節税効果の恩恵を十分に受けられるでしょう。
少ない労力で運用しやすい
多忙を極める医師にとって、自身の資産運用は、少ない労力で効果を上げやすいものを選ぶことがおすすめです。
労力の少ない資産運用の方法はいくつかありますが、不動産投資もその一つといえます。
不動産会社に物件の管理業務を委託することで、月に数時間程度の確認作業のみで続けられます。
本業以外の収益源になり得る
不動産投資の場合、賃貸のニーズのある地域の不動産を対象とすることで、家賃収入を毎月安定的に得ることができます。
そのような時、こうした本業以外の収益があれば、状況に応じたさまざまな選択が可能となります。
相続税対策にも有効
不動産投資は、相続税対策にも有効です。
相続税は、個人の財産の評価額(≒時価)から計算されます。
しかし、それが不動産であれば、その評価額は時価よりも低くなることが一般的です。
このことから、現金など額面で評価される他の資産を保有している状態よりも、不動産を保有したほうが、相続税の節税になるのです。
さらに、相続時に賃貸している不動産であれば、その節税効果はさらに高まります。
インフレに強い
不動産は、インフレに強い資産として位置付けられます。物価上昇に伴い、不動産の価格も上昇しやすいからです。
一方、現金預金などの資産は、インフレ時にはその価値が目減りします。
予測不能な経済情勢に備え、異なる値動きをする財産を複数保有することにより、長期的に安定した資産運用を続けることができます。
レバレッジ効果を活かしやすい
不動産投資の利回りが同じなら、元手が大きいほど短期間で効果を上げやすくなります。
たとえば、利回り5%の賃貸物件で1,000万円の家賃収入を得る場合、2,000万円の物件であれば10年かかりますが、2億円の物件であればたった1年です。
そのため、投資では融資を利用し、少ない自己資金で高額なリターンを得るという合理的な戦略があります。
これを、レバレッジ(てこ)の効果といいます。
医師という職業は信用力が高いため、金融機関の不動産投資ローンなどを最初から良い条件で利用しやすいといえます。
つまり、不動産投資において有利なスタートを切ることができるのです。
万が一のリスクに備えられる
不動産投資ローンには、団体信用生命保険、いわゆる「団信」と併せて契約することが一般的です。
契約者が亡くなるなど万が一のことがあった場合、団信から残債が完済されます。
その場合、不動産は債務のない状態で家族に残すことができますので、実質的に生命保険の代わりになります。
しかし生命保険の代替的な機能を果たす面もありますが、補償範囲や条件は生命保険と異なるため注意が必要です。
医師が不動産投資で失敗しやすいポイント
投資に「絶対」はないものの、不動産投資に失敗するケースには特徴があります。
ここでは、医師が不動産投資で失敗しやすいポイントをご紹介します。
物件選びを他人任せにしてしまう
不動産投資では、物件選びを不動産会社に任せてしまい、営業担当者に勧められるまま投資判断をしてしまうことが少なくありません。
信頼できる業者であれば問題ありませんが、一部の業者においては、不適切な物件を勧める事例も見受けられます。
節税効果につられて収益力のない物件を選んでしまう
節税効果は、不動産投資の魅力の一つです。
しかし、それだけに目を奪われると、借り手のつかない築古物件を勧められ、十分な調査ができないまま購入してしまうかもしれません。
木造の築古物件は、一般的に節税効果の高い物件として知られていますが、知識がないと、建物割合が低く節税効果の薄い物件を選んでしまったり、状況によっては家賃を引き下げなければ借り手がつかなかったり、すぐに大規模な修繕が必要となって当初見込んだ利回りを大幅に下回ったりすることがあります。
無理な借入れをしてしまう
医師は高所得であり、金融機関からの信用も高いため、一般の方に比べて高額な融資を受けやすい職業です。
その信用力を背景に、業者からは高額な物件を勧められることも珍しくありません。
特に、デザイン性に優れた物件や一等地の高級物件など、魅力的に映るものを提案されると、本来の投資目的を見失い、つい購入してしまうケースもあります。
しかし、そうした物件が、不動産投資で成功しやすい物件とは限りません。
無理な借入れをすると、返済が苦しくなるだけでなく、本業で今後必要となる融資にも悪影響を及ぼします。
医師の節税と資産形成を両立させる不動産投資のポイント
前述のとおり、不動産投資には、物件選びや収支の見通しを誤ることで失敗してしまうリスクもあります。
とはいえ、いくつかの基本的なポイントを押さえておくだけで、リスクを抑え、節税と資産形成を両立させる堅実な投資を目指すことができます。
ここでは、自己資金の把握、資産ポートフォリオの設計、無理のない返済計画、物件選びの方針決定といった視点から、多忙を極める医師でも安心して不動産投資に取り組める、実践的なポイントをご紹介します。
不動産投資に回せる資金を把握する
不動産投資を成功させるための第一歩は、現在の収入や貯蓄から、①現時点と②翌年以降、投資に充てられる金額を把握することです。
この金額によって、どのような不動産投資が適しているか、融資を活用すべきかどうかといった判断が変わってきます。
上記②については、可能であれば老後の年齢まで、通常の生活費に加えて、自宅の修繕、車の買い替え、お子さんの教育や進学費など、現実的な支出を想定した計画表を作成し、各年においていくら投資に回せるかを把握するとよいでしょう。
他の資産を組み合わせたポートフォリオを設計する
不動産投資は、ミドルリスク・ミドルリターンと言われ、リスクとリターンの程度は「中程度」とされています。
安定した資産形成を実現するには、経済情勢の変化に対して不動産とは異なる値動きをする、不動産以外の資産(現金預金・有価証券・金地金など)も組み入れたポートフォリオを設計するこが大切になります。
全体のうち、不動産の割合をどのくらいにするべきか正解はありませんが、投資に充てられる資金の5~6割を上限の目安にするとよいでしょう。
無理のない返済計画を立てる
不動産投資ローンを活用する場合は、無理なく返済できる範囲で借入額を決めることが大切です。
不動産投資に回せる自己資金を把握した上で、返済計画を立てましょう。
計画を立てる際には、楽観的なものにせず、空き室、家賃下落、大規模修繕といったリスクを加味しながら、収支の見通しを立てることが大切です。
物件選びの方針を決める
不動産投資では、物件選びの方針を決めることも大切です。
たとえば、所得税の節税効果を重視するなら、土地と建物の価格を比べた時、建物の割合が高い、築古の物件を選ぶことが理想的です。
こうした物件では、長期譲渡所得の税計算が適用される保有年数を目安に売却するなどの出口戦略まで考えた投資計画の策定が求められます。
売却する年の1月1日を基準に「5年以上」保有した不動産であれば、売却益にかかる所得税が大きく減少します。
一方で、長期的な収入源とすることを重視したい場合は、やはり家賃収入でしっかりと利益を得られる物件かどうかで投資判断をすることが重要になります。
その際、節税効果は副次的なものと割り切ってしまってもよいでしょう。
このように、購入したい不動産の目的がしっかり決まっていれば、営業トークに惑わされることも少なくなります。
信頼できるプロに相談する
ここまで、自己資金の把握、資産のポートフォリオ、ローンの返済計画、物件選びといった、不動産投資を成功させるための基本的なポイントを解説してきました。
しかし、実際の不動産投資では、物件ごとの細かな収支シミュレーションや、節税効果と将来的な譲渡益課税のバランス、さらには相続対策といった複合的な視点が必要になります。
これらを一人で判断するのは、かなり困難です。
不動産市場の動向に精通し、なおかつ、税務や法務の実務に長けた専門家に意見を聞くことがおすすめです。
まとめ
医師の皆さまが不動産投資を通じて節税や資産形成を成功させるには、現在のリスクだけでなく、将来の事業承継や資産承継までを考えた対策が欠かせません。
ご自身にとって最良の選択をするには、物件選びや資金計画に関する知識だけでなく、税務や法務といった幅広い知識が必要になります。
当事務所では、医師や医療法人を中心とした豊富な支援実績をもとに、先生方の夢や心配事などを丁寧にお聞かせいただいた上で、具体的な助言やご支援を行っています。
不動産投資の判断に迷ったとき、節税効果を確認したいとき、将来の資産形成に不安があるときなど、当事務所にぜひお気軽にご相談ください。

いかがでしたでしょうか。
医師の方にこそ、不動産投資は大きな節税と資産形成のチャンスとなります。
とはいえ、物件選びや税務戦略には専門的な視点が欠かせません。
ご興味のある方は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
まいど!西新宿の税理士 中村です!
今回は【医師が不動産投資を始めるべき理由と失敗しないためのポイント】について、ご紹介いたします。
多忙な医師の皆さまにとって、投資物件の調査や市場分析に十分な時間をかけることはかなり難しいと思います。
信頼できる業者や専門家を見つけ、不動産選びのポイントを押さえた上で、割高な物件や自己資金に見合わない物件を選ばないことが大切です。