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税理士変更を行うと税務調査の対象になりやすい?

同じ税理士と長く付き合っていたとしても、さまざまな理由で税理士変更を検討しているという方も多いでしょう。税理士変更を行う際のメリットやデメリットはいくつか考えられます。デメリットの一つとして「税務調査の対象になりやすい」という話を聞いたことがあるという方もいるかもしれませんが、果たして本当なのでしょうか。

中村太郎

こんにちは。税理士の中村太郎です。今回は税理士変更によって税務調査の対象になることはあり得るのか、また税理士変更を検討する際のポイントについて解説します。

顧問税理士を変えると税務調査対象になりやすいのか?

税理士変更を行うことで税務調査の対象となってしまうという明確な事実はありません。

税理調査とは、脱税や法令違反などを取り締まり、公正な経理を行うよう指導することを目的としています。そのため顧問税理士が変更になっただけで、税務調査の対象となるということは考えにくいのです。

また「税理士変更で税務調査の対象になる」という仮説の根拠として、前の顧問税理士が脱税について密告するため、という内容があげられる場合がありますが、基本的にこのようなケースはありません。そもそも正しい経理を行っていれば初めから心配はないのですが、税理士が前の顧問先情報について外部に漏らすのは守秘義務違反にあたります。

また万が一密告を行ったとしても、脱税時の顧問税理士が罰則を受けることになりますので、もし該当しているのであれば税理士が密告を行うことには相応のリスクが伴います。そのため、前の顧問税理士の密告によって税務調査が行われるということは考えにくいでしょう。

顧問税理士の変更で税務調査が行われる可能性はあるのか?

税理士変更を行ったことで税務調査の対象となるケースはほぼないといえますが、税理士変更を行った直後に税務調査を行われるケースはあります。

新しい顧問税理士が、以前とは全く違った内容で申告を行うことで、申告内容に問題がなかったとしても、税務署から確認の調査が入ることがあります。これは税理士が変更になったためではなく、申告内容の確認という意味になるため、税理士変更に関わらず調査が行われる可能性はあります。

また、たまたま顧問税理士が変わったタイミングで税務調査が行われるといった事例は少なくないようです。「税理士変更を行うと税務調査に対象になりやすい」という噂は、このようなタイミングの問題から発生したと考えられます。

税理士変更を行う時は書面添付制度が導入されているかを確認するべき

税理士変更を行う際は、書面添付制度が導入されているかを確認するようにしましょう。

書面添付制度とは、税理士法第33条の2と第35条に規定がされている制度の総称となります。簡単に説明すると、税理士が税務署に対して提出する初見表明を行う決まりのことです。

具体的には「どのような勘定項目について記載されているか」「どのような資料を入手しているか」「調査内容や判断材料について」「依頼人からの相談内容について」などについて税理士が作成する保証書のような内容になります。

書面添付を行うことで申告内容の信憑性が増すのですが、この書面添付制度をサービスとして導入していない税理士事務所もあります。税理士を変更したら書面添付を行ってもらえなかった、といったことがないように注意しましょう。

書面添付制度のメリット・デメリット

書面添付制度によるメリットやデメリットについて解説します。

書面添付のメリット

書面添付制度を利用することで、主に以下のメリットが考えられます。

  • 税理士による「お墨付き書類」となるため信頼性が上がる
  • 税務調査の対象となる可能性が低くなる
  • 加算税の一部が免除される
  • 申告書類作成の過程について他の相続人も理解しやすくなる
  • 金融機関などの他機関からの信頼も得られやすくなる

申告内容の信頼性が高くなりますし、税務署が気にしやすい項目に関しても明確に説明を行うことができますので、書面添付制度を利用するメリットは大きいと言えます。

書面添付のデメリット

書面添付制度に関するデメリットもいくつか考えられるので紹介します。

  • 書類作成に一定の時間を要する
  • 書面添付における別途費用が発生する
  • 書面添付制度の普及率が低いため依頼する税理士が限られる
  • 強制捜査や無通知捜査となった場合、書面添付制度についての聴取が行えない

上記のように納税者側へのデメリットがあげられますが、書面添付制度は税務申告において重要な役割を果たすことが多く、追加費用や時間が懸念されることをふまえても、書面添付制度を導入している税理士への依頼を推奨します。

顧問税理士の変更を検討するタイミングの例

顧問税理士を変更するタイミングとして考えられるケースについて説明します。あくまで一例となりますが、税理士変更を検討する際の参考にしてください。

報酬が高い

税理士へ支払う報酬が高いと感じたタイミングで税理士変更を検討するケースは多いです。受けているサポートや業務内容への対価として見合っていないと考えた場合や、税理士へ支払う費用が経理を圧迫していると感じた場合に変更を考える方は多いのではないでしょうか。

とはいえすぐに税理士を変更するのではなく、できるだけ今の税理士との顧問契約を継続できるよう確認や交渉を行うことも考えるとよいでしょう。依頼している業務内容の洗い出しや費用を交渉できないかどうか税理士に交渉することも必要といえます。

現在依頼している業務に対しての費用が適切である場合、次の税理士探しが難航する場合もありますし、何より費用重視で依頼する税理士を決めてしまうと、取り返しのつかないトラブルが発生することもあります。

短期間で複数回税務調査を受けている

短期間で何度も税務調査を受けている場合、申告内容などに関して税務署から目を付けられている可能性が考えられます。

問題なく申告ができている場合に、何度も税務調査が行われるということはあまり考えられません。そのため申告内容にミスや誤りが繰り返し見られるなどの税理士による過失の可能性があるかもしれません。顧問税理士が適切な申告を行っているかを確認し、改善が見られない場合には税理士変更を検討するとよいでしょう。

さらに効果的な税金対策を実施したい

税金対策の実施の有無や内容は会社や事業主によって異なりますが、より効果的な節税対策を行っていきたい場合は、税理士を変更するのも一つの手です。

税務署への申告書類などに不備が無くても、税理士の経験やスキルによっては受けられるアドバイスに差が出ることがあります。そのため顧問税理士ではなく、他の税理士からの助言を受けるなど、より良い節税対策を図るために税理士変更を検討するケースがあります。

税理士との関係が悪化してしまった

税理士との関係性が悪化してしまった場合に、税理士変更を検討するケースもあります。やはり人間同士であれば、そもそも性格の相性や考え方が合わないといったトラブルも発生します。そういった場合には、経営に影響する可能性もありますので税理士を変更してもよいでしょう。

契約を解除した後に、前の税理士への確認が必要となることも考えられますので、喧嘩別れになるような伝え方をせず、しっかり感謝を伝えるなどの礼儀を忘れないようにしましょう。

税理士変更でよくある質問

顧問契約を解除したい旨を、顧問税理士にどう伝えたらよい?

顧問税理士へ契約解除を申し出る際は、これまでの感謝や税理士変更となった理由について、相手の気持ちを尊重しながら丁寧に伝えるとよいでしょう。

あまり遠回しに伝えるのも心象が良くないですが、契約解除の旨や感謝をはっきりと伝えた上で、引継ぎやデータ共有に協力してくれるようお願いすることで、トラブルを防ぐことができます。

税理士を変更する前後で必要になる書類や準備するべきものは?

税理士との契約解除が決まったら、以下の書類を回収する準備、依頼を行いましょう。

  • 請求書
  • 領収書
  • 年末調整関係書類
  • 決算書
  • 税務署への提出書類
  • 定款
  • 登記簿謄本
  • データに関する書類

またこれらの情報や書類を、次に依頼する税理士へ引き継ぐ作業も必要です。その他必要な書類なども事前に確認しておくようにしましょう。

まとめ

税理士変更を行うことで税務調査の対象にはならない、ということを解説しました。

税務調査に関しては申告内容に調査が必要な点があったときに実施されるケースが多いため、タイミングによっては税理士変更が原因と考えることもあるかもしれませんが、原因は税理士変更ではなく申告内容にあるということを覚えておくとよいでしょう。

税理士は事業を成功させるために重要なサポートを行ってくれるため、税理士変更の際はしっかりと準備を行い、スムーズに引継ぎができるようにしてください。