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メルカリで確定申告が必要になるケースやしなかった場合のペナルティを解説

税理士中村太郎

まいど!西新宿の税理士 中村です!

今回は【メルカリ】に注目していきましょう。

人気フリマアプリの「メルカリ」、特別な知識を必要とせず素人でも気軽に利用できます。

不用品の処分によるお小遣い稼ぎや、使い方によっては副業や本業の場として活用することも可能です。

ところでメルカリで得た収入について、出品した物や出品の目的によっては、確定申告が必要になる場合があることはご存じでしょうか。

メルカリの収入で確定申告が必要になるケースとは

メルカリの使い方は個人によってさまざまです。

家に眠っている不用品を販売するため不定期に出品している方もいれば、販売目的で商品を仕入れて出品し、継続的にその売却益を得ている方もいらっしゃいます。

メルカリの収入について確定申告が必要になるかどうかは、まず、その売却益が所得税法上の「所得」に該当するかどうかで決まります。

ただし、メルカリの使い方によっては該当する所得に違いがあり、どの「所得」に該当するかによって確定申告が必要になる基準が変わってきます。

ややこしいのですが、要するにメルカリで確定申告が必要になるかどうかは、まずはご自身のメルカリの収入がどの「所得」に該当するかを判定しなければなりません。

メルカリの所得は、「譲渡所得」、「事業所得」、「雑所得」のいずれかに該当します。

次項から、メルカリで出品をされているユーザーの方に向けてわかりやすく解説します。

メルカリを不用品の売却に使っている→譲渡所得

家に眠っている不用品をメルカリを使用して売却している程度であれば、その収入は一般的には「譲渡所得」に該当します。

ただし、売却した物が「生活用品」である場合や、売却益が年間50万円以下に該当する場合は、確定申告は不要です。

生活用品の出品のみなら確定申告は不要

まず、売却した物が「生活用品」であれば、譲渡所得には該当しません。

ここでいう「生活用品」とは、ご自身や親族が使用する、家具、じゅう器、衣服など「生活に通常必要な動産」のことをいいます。

通常、これらの処分が利益を生むことは稀であり、国民感情の観点からも、課税することがふさわしくないと考えられることから、非課税として扱われるのです。 たとえば、家にある着なくなった衣服や使わなくなった日用品を売却するために使用している程度では、確定申告が必要になることはありません。

30万円超の貴金属などは生活用品の対象外

家に眠っている不用品とはいえ、下記のような高級な品は「生活用品」に含まれません。

  • 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、真珠、こはく製品、ぞうげ製品など
  • 1個または1組の価額が30万円を超える書画、こっとう品、美術工芸品

したがって、これらをメルカリに出品して販売した場合、その売却益は「譲渡所得」になります。

生活用品かどうかわからない場合の対処法

メルカリでは基本的に何でも出品できるため、出品した物が「生活用品」に該当するかどうか判断しづらいこともあると思います。

その場合は、年間の売却益が50万円以下かどうかで確定申告の要否を判定することも可能です。

譲渡所得の計算には年間50万円までの控除があります。

そのため、年間の売却益がこの控除額以下であれば確定申告は不要になります。

譲渡所得の計算式

収入金額-(取得費+譲渡費用)-控除額(最大50万円

  • 収入金額…出品物の売却代金
  • 取得費…出品物の購入代金(収入金額×5%でもOK)
  • 譲渡費用…売却手数料など

控除額の50万円は1回の出品ではなく、あくまでその年の譲渡所得の合計から差し引くものになりますのでご注意ください。

譲渡所得が生じても確定申告が要らないケース

取得費・譲渡費用・控除額(最大50万円)を差し引いても譲渡所得が生じた場合、原則、確定申告が必要になります。

ただし、メルカリから生じた譲渡所得が20万円以下であり、それ以外の所得が年末調整済みの給与のみであれば、メルカリの所得のために確定申告をする必要はありません。

この状態に該当しない場合であっても、その年の合計所得金額(給与や年金、自営業の所得なども合算したすべての所得)から所得控除(基礎控除など)を差し引いて残額がなければ、確定申告をする必要はありません。

メルカリで継続的に販売をしている→「事業所得」または「雑所得」

メルカリによって営利目的による継続的な販売を行っている場合、その売却益は譲渡所得ではなく、「事業所得」や「雑所得」に該当します。

たとえば、メルカリで販売する出品物を仕入れて売却益を継続的に獲得している場合は、一般的に営利目的による継続的な販売であるといえるでしょう。

「事業所得」や「雑所得」に該当する場合は、出品する商品の種類や価格にかかわらず、その売却益について、原則的には確定申告をしなければなりません。

事業所得に該当する場合は、青色申告で確定申告を行って青色申告特別控除を受けることをおすすめします。

青色申告特別控除65万円を受けるには、一般的に複式簿記による記帳などが必要になりますので、はじめての方は会計事務所などにご相談ください。

弊所でも、メルカリの出品者であるお客様から確定申告のご相談を承っております。

事業所得と雑所得の違い

事業所得と雑所得の金額は、いずれも収入金額(売却代金)から必要経費を差し引いたものになります。

事業所得の場合は、納税者からの申請によって青色申告をすることができます。

青色申告をすると、必要経費にできるものの範囲が広くなるほか、一定要件を満たすことによって最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

事業所得の計算式

収入金額-必要経費-青色申告特別控除(最大65万円)

雑所得の計算式

収入金額-必要経費

メルカリの所得は「事業所得」?「雑所得」?

事業所得によって確定申告ができるかどうかについては、令和4年の通達改正によって、ある程度明らかになりました。

メルカリによって営利目的による継続的な販売をしている場合、メルカリによる収入金額と、その販売についての帳簿書類等の作成・保存の有無によって、下記のように判定できます。

収入金額記帳・帳簿書類の保存あり記帳・帳簿書類の保存なし
300万円超事業所得おおむね雑所得
300万円以下おおむね事業所得雑所得

ただし、「おおむね事業所得」に該当する場合、その収入金額が「僅少」であると、雑所得に該当するかどうか個別判断が必要になるとされています。

「僅少」の例として、国税庁は、①その所得の収入金額が例年300万円以下であり、②その収入金額が主たる収入の10分の1未満であれば、一般的に収入金額が僅少であると判断し、雑所得になる可能性があることを示しています。あくまで一例を挙げたものですので、これ以外でも態様によっては注意が必要といえるでしょう。

本業収入のある方が副業でメルカリを使っている場合は、この点に注意が必要です。

事業所得・雑所得で確定申告が要らないケース

事業所得や雑所得の合計が20万円以下であり、それ以外の所得が、年末調整済みの給与のみであれば、メルカリの所得のために確定申告をする必要はありません。

この状態に該当しない場合でも、その年の合計所得金額(給与や年金、自営業の所得なども合算したすべての所得)から所得控除(基礎控除など)を差し引いて残額がなければ、確定申告をしなくてよいです。

税理士中村太郎

メルカリが事業所得に該当する場合で、その年の経営が赤字になった場合は、確定申告をしたほうが税金面で得をする場合があります。

メルカリの確定申告をしなかった場合のペナルティ

メルカリによる確定申告をしなかった場合、税務署からのペナルティを受ける可能性があります。

税務署は個人が行うインターネット販売の税務調査に力を入れており、その気になれば、販売者の情報や売上に関する情報を容易に把握することができます。

メルカリだから大丈夫とか、インターネットでやっているからバレないとかいうことは、ありえません。

もし、確定申告をしなければならない譲渡所得や事業所得、雑所得があるにもかかわらず、確定申告をしなかったことが税務調査で発覚してしまった場合、本来納めるべき税に、無申告加算税や延滞税といった、ペナルティとしての税が上乗せされます。

無申告加算税とは

無申告加算税とは、期限までに確定申告をしなかった場合、確定申告で納めなければならなかった未納税額に加算される税金のことです。

税額は、未納税額の15%~30%にものぼります。

未納税額が50万円を超える部分に対してより高い税率が適用される仕組みになっています。

未納税額無申告加算税の税率
50万円以下の部分15%
50万円超300万円以下の部分20%
300万円超の部分30%

たとえば、未納税額が100万円なら無申告加算税17万5,000円が加算された、117万5,000円の納税が必要になるということです。

計算式

①50万円以下の部分

50万円×15%=7万5,000円

②50万円超300万円以下の部分

(100万円ー50万円)×20%=10万円

①+②=17万5,000円

さらに、帳簿などに仮装や隠蔽があった場合、無申告加算税よりも重い40%の「重加算税」が発生します。

税理士中村太郎

確定申告の期限を過ぎていても、税務署からの連絡を受ける前に自主的に確定申告をすれば、無申告加算税を5%まで抑えることができます。

忘れていた場合は早めにやってしまいましょう。

延滞税

延滞税とは、期限までに納めなかった税額がある場合に発生する税金です

延滞税の税率は「年率」であり、期限日から納税日までの日数に応じて日割り計算した額が徴収されます。

延滞税の年率は、金融機関の金利を参考に決められています。

参考までに、令和4年1月1日~令和4年12月31日の間の延滞分にかかる年率は2.4%になります。

ただし、納期限から2か月を経過すると適用される年率が上がります。

上記の期間における2か月経過後の年率は、年8.7%です。

延滞税についても、なるべく早く確定申告と納税をすることによって、負担を抑えることができます。

確定申告をしなかった場合に課されるペナルティについては別の投稿でも詳しく解説しております。是非ご一緒にご確認ください。

まとめ

今回はメルカリを利用した場合の確定申告について解説いたしました。

その便利さから多くの方が利用するサービスですが、確定申告が必要になるケースがございます。これを知らずに確定申告をしなかった場合、ペナルティが課せられる可能性もございます。

ご自分の利用方法はどういったケースに当てはまるのか、そして確定申告は必要なのかどうか、しっかりとご確認ください。

税理士中村太郎

メルカリの確定申告の要否や、確定申告をしなかった場合のペナルティについて解説しました。

確定申告をしないまま放置すると、税務調査で嫌な思いをした上に余計な税金を支払うことになりかねません。

もし確定申告をし忘れている年があれば、早めにすることによって、ペナルティを最小に抑えることができます。

メルカリの確定申告は、ぜひ弊所にご相談ください。

ABOUT US
新宿の税理士「中村太郎」
税理士業界経験20年超。過去、300社を超える会社、さまざまな業種・企業の税務・財務・融資・補助金申請などの業務を経験してきました。その経験と、士業はサービス業であるという精神から、ご満足頂けるご提案やサービス提供が可能であると自負しております。貴社の真のビジネスパートナー、経営者の方の「右腕」として弊社をご活用下さい。