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電子帳簿保存法のタイムスタンプとは?不要になる?

税理士中村太郎

まいど!西新宿の税理士 中村です!

前回に引き続き、「電子帳簿保存法」について、お知らせ致します。

タイムスタンプとは何か、また今回の改正により不要になるのか。

皆さんの疑問を解決いたしますので、是非ご一読下さい!

タイムスタンプとは

タイムスタンプとはデータに時間を刻印するサービス

タイムスタンプとは、電子データに「時間」を刻印するサービスのことです。

このサービスを利用すれば、その時刻にその電子データが存在していたこと、そしてその時刻から電子データが改ざんされていないことを証明することができます。

電子帳簿保存制度では、スキャナ保存等によって、電子データで書類を保存する際に、このタイムスタンプを、受け取った日から一定期間内に付与することを求めています。

タイムスタンプのしくみ

タイムスタンプのサービスを行うTSA(時刻認証業務認定事業者)が、タイムスタンプの利用者から対象データの「ハッシュ値」を受信し、それを「時刻」と結合させたタイムスタンプ・トークンを生成し、利用者に送付します。

「ハッシュ値」とは、データから計算される複雑な文字列のことです。

「データの指紋」と呼ばれるほど、同じものはまず存在しないと言われており、もしほんの僅かでもデータに変更を加えると、次に計算されるハッシュ値は、前とは全く違うものに変わります。

後に、対象データのハッシュ値とタイムスタンプ・トークンの情報を比較して一致すれば、そのデータは、その時刻に存在していたこと、そしてその時刻から改ざんされていないことの2つを証明することができます。

スキャナ保存のタイムスタンプが不要に?

スキャナ保存のタイムスタンプに代替措置が誕生

改正前のスキャナ保存では、スキャンしたデータに、タイムスタンプを必ず付与しなければなりませんでした。

改正後は、スキャンしたデータを「訂正削除の履歴や内容が残るシステム」または「訂正削除ができないシステム」に、一定期間内に保存や入力をしたことが確認出来れば、スキャナ保存が認められるようになりました。

上書きや完成削除ができるシステムはダメ

「訂正削除の履歴や内容が残る」とは、下記のような機能をいいます。

  • データの訂正をした場合、上書きされず、訂正後のデータが新しく保存される
  • データを削除しようとした場合、削除はされず削除したという履歴が新しく保存される

上書きや削除がこっそりできてしまうようなシステムでは、タイムスタンプの代わりにはできないということです。

保存に知事の証明機能も必要

タイムスタンプの代わりとして認められるのは、上記のシステムを使って、「入力期間内」に保存や入力したことが確認できる場合のみです。

そのため、各データの保存日時も証明できなければなりません。

保存日時が証明できれば、前項の訂正削除のルールと合わせることで、タイムスタンプと同じように、ある時刻からそのデータが改ざんされていないことを証明できるようになります。

入力期間とは

「最長2か月+7営業日」のことです。

「最長2か月」というのは、その会社の業務規定に合わせた、通常の処理期間をいいます。

(2か月が限度であるため、このような表示になっていますが、もしそれが「20日」であれば、「最長2か月」の部分は「20日」となります。)

具体的にはどうすればいいのか

どのような場合に上記の要件を満たすかについて、国税庁は、「例えば、他者が提供するSaaS型のクラウドサービスが稼働するサーバー(自社システムによる時刻の改ざん可能性を排除したシステム)がNTPサーバー(ネットワーク上で現在時刻を配信するためのサーバ)と同期しており、かつ、スキャナデータが保存された時刻の記録及びその時刻が変更されていないことを確認できるなど、客観的にそのデータ保存の正確性を担保することができる場合」と解説しています。

(出典)国税庁:電子帳簿保存法取扱通達4-28【解説】より

httpss://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/031227/index.htm

要約すると「NTPサーバーで時刻を同期させた、外部のクラウドサービスかなあ…」と説明しています。

他者が提供するサービスとする理由は、その後の説明のとおり、自社が提供元であるクラウドサービスだと、時刻を改ざんできる可能性があるためです。

「タイムスタンプの代わりとして、それはちょっと…」ということですね。

改ざんの可能性が何らかの方法で排除できれば、認められる余地があるようにも読めます。

要件を満たすかどうか判断が難しい場合

要件を満たすかどうか判断が難しい場合、国税庁は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(「JIIMA」)が確認(認証)したソフトウェア等であることを確認するという手法を紹介しています。

こちらのQ&Aに詳細が書かれていますので、参考にしてください。

国税庁:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問57

httpss://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/4-3.htm

他には、顧問税理士に尋ねる、ベンダーさんに相談する、タイムスタンプの付与を検討するといった対応があります。

電子帳簿保存にはもともとタイプスタンプの代替措置あり

タイムスタンプの付与は、スキャナ保存の他に電子取引保存の「真実性の要件」にも関係します。

ただし、「真実性の要件」には、今回の改正前から、タイムスタンプ以外の対応方法が認められています。

比較的、取り組みやすい対応もありますので、タイムスタンプを選択する必要性は高くないと思います。

税理士中村太郎

いかがでしたでしょうか。

電子帳簿保存をする際のポイントは

①データがその時刻に存在していたことが証明できること

②その時刻から改ざんされていないことを証明できること

になります。

タイムスタンプ以外にも、上記を証明する方法がいくつかございますので、自社に合った対応を検討・導入していきましょう!