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会社設立によって得られる節税メリットをデメリットも含めて解説

税理士中村太郎

まいど!西新宿の税理士 中村です!

本日は【会社設立によって得られる節税】についてメリットとデメリットを解説致します!

現在個人事業主として活躍されている皆様、是非この記事を読んで節税対策の一つとして、会社設立を検討ください。

会社設立によって得られる節税メリット

役員報酬を経費にできる

個人事業において、事業主である自身に対し、経費として給与を支払うことはできません。

しかし、会社設立を行えば、自身に役員報酬を支払うことができます。

役員報酬は、定期同額などの支給要件を満たせば、支給した全額を会社の経費にすることができます。

家族に給与を支払う場合、経費にできる

個人事業において、配偶者や同一生計の親族への給与を経費とするには、給与を受ける配偶者や親族が「事業専従者」でなければなりません。

しかし、法人であれば、事業専従者である必要はなくなります。

したがって、会社を設立し、家族をその会社の役員や従業員として役員報酬や給与を支給すれば、その分を会社の経費にすることができます。

退職金が損金として認められる

個人事業において、事業主や家族に対する退職金を支給しても、それを必要経費にすることはできません。

会社設立を行えば、役員である自身や家族に支給する退職金は、適正金額であれば会社の経費とすることができます。

欠損金の繰越控除可能期間が長くなる

法人の場合、欠損金の繰越控除可能期間は10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)です。

これに対して個人事業は3年間ですので、大きな赤字が生じると控除しきれない可能性があります。

したがって、期間の長い法人のほうが節税効果は高いと言えます。

課税事業者になるタイミングを遅らせることができる

個人事業主として消費税の課税事業者になるタイミングで法人化すると、1年間または2年間、課税事業者になるタイミングを遅らせることができます。

これにより、その間の消費税の納税負担を無くすことができます。

会社設立によって考えられるデメリット

設立時などのコストが高くなる

会社設立には、株式会社の場合、一般的に20万円ほどのコストがかかります。

また、会社設立後は、会社の所得が赤字だろうと関係なく、法人住民税の均等割が最低でも年7万円発生します。

他にも、決算公告に必要な公告料や登記事項の変更に伴う登記費用などのコストが発生し続けます。

社会保険への加入が義務付けられる

法人は、たとえ自分以外に人を雇っていなくても、健康保険や厚生年金保険への加入が義務付けられています。

社会保険料は個人との折半ですので、会社も負担しなければなりません。

したがって、個人事業よりもコストが増える要因となります。

会社設立と個人事業における税金の差を比較

前項で「役員報酬の計上」や「家族に給与を支払う」という方法を紹介しましたが、会社から個人に支給された役員報酬や給与は、個人の給与所得として、今度は所得税や住民税の課税対象になってしまいます。

それでも、会社を設立して、会社から個人に役員報酬や給与を支払うことは、節税に大変有効な方法です。

その理由は、法人と個人の税率差と、給与所得控除額にあります。

法人と個人の税率差とは

個人の所得税率は5%~45%の超過累進税率ですが、法人税は、中小法人の場合、所得800万円以下の部分は15%、超える部分は23.2%になります。

つまり、課税所得が多くなればなるほど、会社を設立したほうが、税負担は低くなるのです。 たとえば、個人事業主の事業所得(収入から経費を引いた額)が1,000万円で、所得控除として社会保険料控除と基礎控除のみを考慮した場合、個人事業主の税負担は、所得税・事業税・住民税の合計で約228万円になります。

では、この事業を法人化し、自身に役員報酬として会社から年600万円を支給した場合、会社と個人の税負担はどうなるでしょうか。 法人税等の実効税率を33%とした場合、会社の税負担は約104万円、個人の税負担は約52万円で、合わせて約157万円になり、個人事業主のときよりも低くなります。

給与所得控除額とは

個人の税計算で使用する「給与所得控除額」も、節税に大きく関係します。

役員報酬を自身に支払う場合、個人の課税対象になるのは、総支給額から「給与所得控除額」を差し引いた額です。

たとえば、600万円に対する給与所得控除額は164万円ですので、課税対象を436万円に圧縮することができます。

家族に給与を支払えばさらにお得に

個人に対する所得税は、所得が低いほど適用される税率が下がります。

この特性から、役員報酬や給与を家族にも分散することによって、さらに税負担が下がります。 たとえば、先ほどと同じ条件で、600万円の役員報酬を、自身と配偶者へ300万円ずつに分けて支給した場合、法人と個人の税負担は合わせて約138万円です。

1人に600万円を支給する場合よりも、税負担はさらに低くなります。

会社設立のタイミングの考え方

利益金額で考える

前述のとおり、個人事業主の所得税率は5~45%、中小法人の法人税率は、所得800万円以下の部分は15%、それを超える部分は23.2%になります。

したがって、この2種類の税金のみを単純に比較すれば、個人の事業所得が740万円になるあたりで会社設立を行い、個人の事業所得を法人の所得としたほうが、税負担は低くなるといえます。

課税売上高で考える

個人事業における2年前の1月~12月の課税売上高、または、前期の1月~6月の課税売上高もしくは給与等の額が1,000万円を超えている場合、消費税の課税事業者となります。

もし消費税の課税事業者になる前のタイミングで個人事業を法人化すれば、消費税課税をさらに先送りにすることが可能です。

「許認可が必要な事業」などの特別な事情がある場合

売上(利益)の予測ができている、許認可が必要な事業であるなどの特別な事情がある場合には、開業時に会社設立をしたほうがいいこともあります。

まとめ

法人化の目安は、所得税率と法人税率の差から740万円としましたが、個人や法人にかかる税金は、所得税や法人税だけではありません。

個人には、所得税のほかにも個人事業税や個人住民税が、法人には、法人税のほかにも地方法人税、法人事業税、特別法人事業税、法人住民税といった複数の税があり、事業内容や会社の規模で適用税率が変わることもあるため、厳密な分岐点を見つけるには個別のシミュレーションが必要です。

また、役員報酬をどのように設計するかによっても課税所得は変化しますし、会社設立によって増加するコストも考慮して検討する必要があります。

よって、740万円はあくまで目安です。

「個人の税負担が重くなってきたな…」と感じたら、会社設立の判断のために、節税のシミュレーションを税理士に依頼してみましょう。

税理士中村太郎

いかがでしたか?

会社設立は様々な面で節税になります。

どれだけの節税効果が得られるかは、実際のところ、ケースバイケースです。

しかしながら、目安やメリットを知っておくと、選択肢の幅は広がりますので、【会社設立】を特別な事柄として捉えすぎず、身近な節税対策として感じて頂ければ幸いでございます。