歯科医院が税理士に依頼できる業務の範囲
税理士に依頼できる一般的な業務は、以下のとおりです。
・記帳代行(経理代行)から決算まで
・税務申告(確定申告)
・給与計算、年末調整
・税務についての相談対応
これらは通常、どの税理士にも依頼できる一般的なサービスになります。
特に、①税務書類の作成、②税務代理(税務申告の代理、税務調査の立会いなど)、③税務相談の3つは「税理士の独占業務」であり、税理士にしか依頼できません。
歯科医に強い税理士に依頼できる業務
歯科医院の支援に強い税理士であれば、歯科医の経営に役立つ多様なサービスを受けることができます。
以下、代表的なサービスを紹介します。
開業支援
歯科医院を開業する際には、「開業場所をどこにするか」「どのような設備を導入するか」、「建物や設備に必要な資金をどう確保するか」、「運転資金をいくら用意するか」といった重要な判断が求められます。
多くの歯科医にとっては初めての経験となるため、何を基準に判断すべきなのか、そもそも何から手をつけるべきなのか迷うことでしょう。
さらには、医業特有の手続きとして、保健所や地方厚生局、医師会などへの手続きも必要になりますし、税務や社会保険、労務に関しても必要な手続きを漏れなく行わなければなりません。
このようにやることの多い歯科医の開業ですが、歯科医院の支援に強い税理士であれば開業に必要となる一連の手続きをサポートします。
資金調達支援
歯科は、歯科衛生士など専門性の高い人材や、高額な設備や消耗品を要する業種です。
そして保険診療報酬は2か月遅れで入金されるため、収入を見通しづらい面があります。
何も対策せずに経営を続けると、あっという間に資金がなくなってしまうこともあるのです。
歯科医の支援に強い税理士であれば、税務や会計処理だけでなく、歯科医の財務や資金繰りも管理します。
「無駄な経費を支払っていないか」「この設備の買い替えは融資を受けておくべきか」といった判断をサポートし、安定した歯科経営を一緒に目指します。
経理のアウトソーシングや自計化の支援
歯科の日々の経理は税理士事務所に外注し、アウトソーシングすることもできます。
経理に必要な書類(請求書や領収書など)を渡し、会計ソフトに入力してもらうイメージです。
入力だけなら税理士以外の企業などにも依頼できますが、そのまま確定申告まで依頼したい場合は税理士を選ぶようにしましょう。
歯科医院に強い税理士であれば、レセプトから2ヶ月後に支払われる概算の診療報酬も計算できますので、渡す書類も最低限で済むでしょう。

経理のアウトソーシングは、専門スタッフを雇うよりも安価で、すぐに正確な経理が始められるようになる点がメリットです。
一方で、家族従業員や事務スタッフさんに経理を覚えて入力してもらう、「自計化」を目指すことも、長い目で見ればコストカットにつながります。
当事務所は、院長の希望に合わせてどちらのケースでもサポートします。
クラウド会計の導入支援も得意ですので、おまかせください!
クラウド会計などのIT導入支援
歯科のバックオフィス業務は、日々の経理、勤怠管理、給与計算など多岐にわたります。
こうした業務はITツールの導入で効率化することが可能です。
歯科医の支援に強い税理士であれば、医院の規模や状況に合わせて最適なツールを提案し、導入から運用までをサポートしてくれます。
経理をアウトソーシングしたい場合も、クラウド会計を活用する税理士事務所であれば、専用のクラウドに書類をアップロードして渡せるため業務効率化に役立ちます。
経営コンサルティング
歯科医院を安定的に運営するには、今の経営状態から将来を見通すことも必要です。
数字を見て、現場のサイクルを見つめ直し、発見した課題を一つ一つ解決し、コロナ禍のような不測の事態にも耐えられる、強い経営基盤を目指すことが大切です。
また、コンビニより数が多いと言われる歯科医院の世界では、周辺のクリニックとの差別化を意識した、ブランディングも大切になります。
このような多角的な経営の取り組みを支援できる税理士もいます。
専門知識と経験を踏まえ、院長が正しく経営判断ができる材料をスピーディに提供します。
「何を基準に判断すればいいかわからない」という状態から、徐々に経営判断に根拠と自信を持てるようになるでしょう。
なかには、経営計画を一緒に策定し、その実現管理を一緒に行う伴走型のサービスを提供する税理士もいます。
こうした支援に強い税理士であれば、孤独と言われる経営者の心強い相談相手になるでしょう。
医療法人化支援
個人で運営する歯科医院を「医療法人」にすることで、節税や分院による事業拡大、事業承継の円滑化といったメリットを得ることができます。
歯科医院の支援に強い税理士であれば、医療法人化によるメリットとデメリットを比較し、医院の現状や将来の展望に合わせて判断をサポートを行います。
さらに、法人設立に必要な書類作成や関係機関への手続き、法人化した後の運営で必要な手続きなども支援します。
相続・事業承継対策
歯科医院は地域医療を担う存在であり、長期にわたって経営を続けることが求められます。
将来的に医院をお子さんに引き継ぐ方もいらっしゃるでしょうし、第三者に売却して引き継ぎたい場合もあるでしょう。
そのためには、事業承継の税務や法務の対策を早めに進めておくことが重要です。
歯科医の支援に強い税理士であれば、相続や事業承継に関する税務面でのアドバイスはもちろん、弁護士や司法書士といった他の専門家とも連携し、円滑な承継の仕組みを整えることができます。
院長の考えに寄り添いながら、次世代へ引き継ぐことが可能になります。
歯科医が税理士に依頼できない業務
他の士業の独占業務まで、税理士には依頼することができません。
たとえば、患者とのトラブルにおける代理交渉や、不動産登記に関する手続きなどは、弁護士や司法書士といった他士業の専門分野です。
ただし、経営支援に強い税理士であれば、これらの専門家とネットワークを築いているケースも多くあります。
税理士が窓口となり、必要に応じて弁護士や司法書士などと連携しながら対応できるため、歯科医は複数の専門家を個別に探す手間を省き、安心してワンストップのサポートを受けられます。
歯科に強い税理士の選び方
ここまでのとおり、歯科医院に強い税理士がいれば、経理や財務、事業承継などの悩みはもちろん、日々発生するさまざまな疑問や問題の相談相手として頼りになります。
経営経験がなくても安定した医院運営を続けやすくなり、さらに事務負担が軽減されることから、本業である診療に集中できるようになるでしょう。
歯科に強い税理士をインターネットなどで探す際には、以下のポイントを意識してみるとよいでしょう。
税務以外のサービスが充実しているか
単に税務申告や会計処理を行うだけでなく、開業支援や資金調達、経営コンサルティング、IT導入支援、医療法人化や相続・事業承継対策といった幅広いサービスを提供しているかどうかを確認しましょう。
長年、経営支援に力を入れている事務所であれば、上記のようなサービスについて、ホームページや税理士紹介サイトなどで言及されているはずです。
歯科医院の支援に力を入れているか
歯科医院の支援に力を入れているかどうかも、歯科に強い税理士を選ぶ重要なポイントです。
気になる事務所があれば、ホームページなどで歯科医に対する情報発信をしていないか調べてみましょう。
もちろん、問い合わせや初回面談の場で「歯科医院の顧問経験があるか」を直接尋ねてみるのも有効です。
まとめ
この記事では、歯科医に税理士が必要な理由、税理士に依頼できる一般的な業務や歯科医院特有の経営支援、依頼できない業務とその対応策、そして歯科に強い税理士の選び方について解説しました。
歯科医院の経営は、経理・人事・税務・財務といった幅広い面で専門知識と判断が求められます。
信頼できる税理士と連携することで、日常の業務が効率化されるだけでなく、医院の将来を見据えた経営判断を自信をもって行うことができるようになります。

いかがでしたでしょうか。
今回は、歯科医が税理士に依頼できる業務や、歯科医院の経営に強い税理士が提供できるサポートについてご紹介しました。
歯科医院の経営は、診療技術の向上だけでなく、安定した財務基盤や将来を見据えた経営戦略が欠かせません。
歯科に強い税理士であれば、単に税務申告を代行する存在ではなく、経営の伴走者として医院の成長を支えることができます。
当事務所でも、これまで多くの歯科医院の支援を行ってまいりました。
開業準備から資金調達、経営改善、IT導入、医療法人化、相続・事業承継まで、幅広くサポートできる体制を整えております。
歯科医院の安定経営やさらなる成長を目指す先生方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。























歯科医院の経営には、本業である診療だけでなく、経理や財務、人事など多岐にわたる業務への対応が必要になります。
開業当初は、専門のスタッフを置かず、歯科医自身が対応するケースもあるでしょう。
しかしその体制では、患者数が増えるにつれて細かな業務を正確に続けることは難しくなります。
そこで頼りになるのが「歯科に強い税理士」です。
今回は、歯科医院が税理士に依頼できる業務の内容や、歯科に強い税理士を選ぶポイントを分かりやすく解説します。