よくある税理士の変更理由
まずは税理士変更を考える理由として、よくある理由について紹介します。
税理士との関係が悪化した
やはり人間同士ですので、どうしても性格の相性が合わなかったり、やり取りをする中でスムーズに会話ができなかったりなどの不満が出てしまう事があります。そのような関係性で長く付き合っていくことでお互いにストレスが溜まり、関係が悪化してしまうというのはよくある話です。 関係が上手くいかない状態だと、経営に影響が出てしまう可能性もありますので、人間関係の理由で税理士変更を考える方は多いようです。
税理士の報酬に不満がある
税理士への報酬が高すぎる、作業内容に見合っていないなどの理由で税理士変更を考えるケースも多いです。費用面だけで変更先を選ぶのはあまりおすすめできませんが、いくつかの事務所で相見積もりを行い、費用面と含む条件に合った税理士を探してみるのもよいでしょう。
税理士の作業内容に不満がある
返信が遅い、対応が遅い・不備が多い、契約した内容と異なるなど、税理士の作業内容に不満があるという理由で税理士を変更したいと考える人も多いです。 無理な要求をしている場合は例外としても、依頼した仕事の対応に不満があると、信頼関係にも影響します。どうしても改善されない場合は、税理士変更を考えるべきでしょう。
会社の経営方針が変わった
会社の経営方針が変わることで、税理士も変更するケースがあります。例えば経営者が変わった場合、経営者が信頼している新たな税理士に依頼することもあります。
また、会社の規模が大きくなることで、今の税理士の対応範囲外になることもあります。会社の方針を大きく変えるタイミングで、税理士が変わることもあると覚えておきましょう。
親戚や友人など身近な人が税理士になった
身近な人が税理士になった場合、信頼や話しやすさの面から税理士を変更するケースもあります。経営以外の話も気軽にできる関係から、さまざまな相談にも乗ってくれるなどのメリットも考えられます。
税理士変更を検討するタイミング
上記のような理由で税理士を変更したいと考えた場合、そのタイミングについては冷静に考える必要があります。
「対応に不満がある」「報酬に不満がある」といった悩みがあると、すぐにでも税理士を変更したいと考えてしまうかもしれませんが、次の税理士への引継ぎ準備や繁忙期などの時期をふまえた上で、変更のタイミングを検討するようにしましょう。 特に決算月の前後など、あらかじめ忙しくなる時期などが分かっていれば、その時期は避けるようにしてください。
税理士変更と税務調査の関係性については、こちらの記事参照ください。
税理士変更の手順・スケジュール
税理士を変更する際の大まかな手順について解説します。
前提として税理士変更にかかる期間は半年から1年を想定しておきましょう。次の税理士を探す期間や、現在の顧問税理士に解約を伝えて書類等を回収する期間を考えると、想定していたよりも時間がかかってしまうことがよくあります。また、決算月をふまえてうえでのスケジュール想定が重要となります。 次に税理士変更時に必要な手順について、下記で解説していきます。
現在の顧問税理士との契約内容を確認する
まず始めに現在の顧問税理士との契約内容を細かく確認しましょう。契約書には、解約する場合はいつまでに申し出を行う必要があるのか、などの記載があるはずです。特に長く契約している場合は、気づかぬうちに自動更新となっているケースが多いので注意しましょう。
その他、契約解除に影響が出そうな内容がないかどうか、よく確認を行うことをおすすめします。
次の税理士を探す
現在の顧問税理士との契約期間中に、次の税理士を探しておく必要があります。理由は、解約後に税理士探しが難航した場合、突然の税務調査などがあった際に適切な対応が取れなくなってしまうためです。 税理士の探し方については後述しますが、税理士を変更すると決めたら早めに行動しておきましょう。
解約の旨を顧問税理士に伝える
次の税理士のめどが立ったら、現在の顧問税理士に解約したい旨を伝えましょう。
相手が嫌な思いをしないよう、できるだけ角が立たないような理由を合わせて伝えられると良いです。例えば「古くからの友人が税理士事務所を設立した」などの事情を話すと、やむを得ないということで話がまとまるかもしれません。
書類等の必要物を返却してもらう
顧問税理士の解約前に、税理士に渡している書類やデータを返却してもらう必要があります。円満に解約できる場合はスムーズに返却が進みやすいですが、中には返却が滞るケースもあるようですので、注意が必要です。
返却してもらうべき書類は主に、請求書、領収書、決算書、定款、登記簿謄本、年末調整関連書類、各データなどがあげられます。契約時にどういった書類やデータを渡しているか記録している場合はそれらをチェックしましょう。
上記の手順をしっかり行うことで、次の税理士にスムーズに引継ぎを行うことができるでしょう。
税理士変更をするメリット・デメリット
税理士を変更には手間がかかります。変更することで得られるメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
税理士変更には、以下のようなメリットがございます。
- 報酬額を適正にできる
- 不満を解消できる
- ニーズに合ったサポートが受けられる
前述の通り、税理士変更の理由として多いのが報酬への不満や、業務に対する不満、経営方針と合っていないことです。これら不満は税理士を変更することで一挙に解決できる可能性があるほか、適切な報酬でニーズに合うサービスを提供してくれる税理士、つまり自社に最適な税理士に変更できる可能性がございます。
デメリット
逆に税理士変更には、以下のデメリットもございます。
- 引継に労力が必要
- 良い税理士に出会えない可能性がある
- 会社への理解や信頼関係を一から築く必要がある
先程ご紹介したとおり、税理士を変更するにはまず新しい税理士を探さなければなりません。その上で、預けている書類等を全て回収し新しい税理士に引継をする必要がございますが、この引継作業には少なからず労力がかかります。
また、新しい税理士を探してみたものの自社が求める条件・ニーズを満たす税理士が見つからない可能性がございます。さらに仮に見つかったとしても、会社がどのような事業を行っており、どのような経営方針で運営しているかなど、一から会社への理解を深めてもらい信頼関係を築いていかなければなりません。
税理士を変更するときの5つの注意点
税理士変更の際、下記の5つに注意しましょう。
税理士変更のタイミングと時期に気をつける
税理士の変更をスムーズに行うには、契約解除の連絡をするタイミングや時期に注意が必要です。
特に、確定申告の直前期における税理士変更の連絡は、避けた方が無難といえます。
この時期の担当者や所長税理士は、常に顧問先を飛び回っていますので、連絡をとることが難しく、たとえ連絡がついても、落ち着いて事情を話したり、返却してもらわなければならない書類関係の準備に時間がかかったりして、スムーズに変更が進まない可能性が高いです。
したがって、個人の確定申告の直前期である2月・3月の税理士変更は避けましょう。
また、一般的に3月を決算月とする法人が多いため、法人の確定申告期限が集中する5月も多忙である事務所が多いです。
次に依頼する税理士を見つけておく
税理士を変更するなら、次に依頼する税理士を先に見つけておく必要があります。
「とにかく一日でも早く解約したい!」「今の税理士よりいい人なんて、すぐに見つかるに決まっている!」という気持ちもあるかと思いますが、短期間で見つけた候補の中から適当に選ぶと、また税理士変更を検討しなければならなくなる可能性があります。
税理士変更の検討を始めてから実際に変更するまでの期間は、半年から1年程度を見積もっておいて、税理士変更をする可能性が高まったら速やかに次の税理士探しを始めましょう。
税理士との契約書を確認する
税理士に変更の連絡をする前に、税理士と交わした顧問契約書で契約解除の手続きを確認しておきましょう。
契約通りの手順で解約することで、無用なトラブルを防ぐことができます。
中には、「解約の3ヶ月前には申し出ること」などの条件が設定されていることがあるので要注意です。
税理士に預けている書類は確実に返してもらう
税理士を変更する際は、今の税理士に預けている書類や、それまでに入力した決算・申告のデータや税務などの届出関係をまとめた資料をすべて渡してもらいます。
これを怠ると新しい税理士が現状を把握できず、前の税理士に確認を取らなければならない状況が発生してしまいます。
また、関係を解消した税理士に、会社や個人の重要な情報を預けていてもメリットは特にありません。
逆に何かあったときの情報漏えいリスクは残りますので、税理士変更をする際は、全ての書類を返してもらうことが合理的です。
もし、税理士が書類返却を拒否するような場合、その税理士が所属している税理士会に相談するという対処法があります。
税理士変更の最終業務日を決めておく
新しい税理士が担当を開始するまでの間に税理士不在の期間が生じないよう、今の税理士との間で最終業務日を取り決めておく必要があります。
また、後に税務に関する責任の所在を明らかにしなければならない事態が発生したときに備え、最終業務日は記録に残し、しばらくの間、保管しておきましょう。
税理士を変更するときに失敗しないためのポイント
税理士変更を失敗しないためのポイントをご紹介します。
事前に依頼したいことを明確にしておく
税理士変更を検討されている方は、今の税理士から受けているサービスを通じて、税理士に本当にしてもらいたいことが見えてきたのではないでしょうか。
次に契約したい税理士には、ご自身が依頼したいことを出来る限り細かく前もって伝えるようにしましょう。
- 確定申告や決算書の書類作成、申告
- 節税対策のサポート
- 税務面から見たときの資金繰りの見直し
- リスクや改善点の把握
税理士と実際に会ってから変更を決定する
「優秀な先生だし、業界では評判もいいはずなのに、なぜか私には合わない…」
「話し後、いつも何となくモヤモヤする…」 ということがあります。
この「何となく合わない」という感覚は、意外と重要です。
税理士は、言ってみれば経営者に伴走する「パートナー」ですから、「相談しやすい人柄である」、「話し方が分かりやすい」、「前向きな姿勢で好感がもてる」といった印象も、税理士を選ぶ際の重要なポイントになります。
税理士を変更するとき、次に契約したい税理士とは、実際に会って話しておくことが大切です。
- 話をしっかり聞いてくれ、自分の話や提案を一方的にしてこない
- 専門的な用語ばかり使わず、分かりやすく話してくれる
- 経営者の目線に立ち、アドバイスをしてくれる
税理士の特徴や強みを把握する
次の税理士を選ぶ際には、その税理士の得意な分野とご自身の営む事業がマッチするかどうかを確認しておく必要があります。
税理士によっては、事務所のホームページで、事務所の経営理念、サービス内容、料金、経営支援に対する考え方や方法、実績などを公開しています。
こうした情報を踏まえて話を進めることで、税理士変更の後になって「思っていたサポートが受けられなかった」「うちの会社の経営方針やスピード感には合わなかった」といったミスマッチを減らすことができます。
税理士を変更して成功したケース
最後に税理士変更で成功したケースをご紹介します
会社の課題が明確になった
自社の業界に明るい税理士や、経営支援に前向きな税理士に変更することによって、それまで経営者が気が付かなかった会社の課題の発見に繋がることがあります。
経営のパートナーになってもらえた
経営者は経営環境の変化、会社の成長戦略、人材の採用や育成、事業承継や相続など、あらゆる悩みを独りで抱え、日々戦っています。
決算や確定申告を依頼しているだけの関係である税理士にこれらを相談しようとはなりませんが、人柄の合う税理士に変更すれば、経営や将来に関する悩みも相談できる良きパートナーになってくれます。
税務調査に立ち会ってもらい、安心して対応することができた
税務調査の対応は、税理士によって異なります。
調査に立ち会って、税務職員の質問に答えたり、一緒に調査結果を聞いて必要なことを答えたりする税理士がいれば、税務調査も安心して対応できます。
また、「書面添付制度」を活用し、クライアントを税務調査の負担からできる限り守ることも可能です。
税務調査への積極的な対応や書面添付制度を導入している税理士に変更することで、税務調査の負担を軽減し、本業に全力投球することができます。
まとめ
今回は税理士変更について、解説いたしました。
税理士変更には、事前準備とタイミングが非常に重要となります。
会社のお金に関する事情を任せる相手になりますので、様々な面から検討を重ね、信頼に足る税理士と契約することが大切です。
いかがでしたでしょうか。
会社経営のパートナーとなる税理士。信頼関係を築くことが非常に重要です。
小さな不満を妥協することも大切ですが、きちんと相手に伝え、より一層関係値を深める努力も大切です。
是非、自社に適した税理士を探してください。
弊所は『社長の真のパートナー』になれるよう、日々邁進しております。
何かお困りの際にはお気軽にお問い合わせくださいませ。
まいど!西新宿の税理士 中村です!
今回は【税理士変更のタイミング】について。
会社の経営や、個人事業を営まれる方にとって、重要なパートナーとなる税理士。
主要な業務は税務申告ですが、申告書を作成するためには日々のコミュニケーションなど、事業主と税理士との間の信頼関係は欠かせません。
様々な理由で税理士変更を検討される方がおられると思いますが、どのようなタイミングで変更すべきなのか、本記事にて解説していきます!