2023年の確定申告の申告期間と期限
2023年分の確定申告の期間は、2024年2月16日(金)から3月15日(金)です。
最終日である2024年3月15日(金)が、確定申告の期限となります。
期限当日に書類が出せるなら確定申告できる3つの方法
確定申告は、期限当日にすることも可能です。
期限当日に確定申告をする方法には、税務署の窓口や時間外収受箱で提出する方法、郵便局の窓口で郵送する方法、e-Taxで送信する方法があります。
24時間対応している税務署の時間外収受箱に書類を投函する
期限当日に確定申告をする方法には、税務署の会長時間内(朝8時30分~夕方5時まで)に税務署に出向き、受付窓口で確定申告書を提出する方法があります。
そしてこの方法以外にも、税務署の入り口付近に設置されている「時間外収受箱」への投函なら、24時間いつでも確定申告をすることが可能です。
税務署が閉庁する夕方5時を過ぎても時間外収受箱に投函すれば、その日に確定申告をしたことになります。
しかも、期日当日の24時を過ぎても、時間外収受箱の回収時刻は、翌朝に担当職員が出勤したタイミングであるため、それまでに投函すれば、期限内に確定申告をしたとして扱ってもらえるようです。
ただし、時間外収受箱の回収時刻を期限とするこの取り扱いは、税法に根拠があるわけではなく内部的なルールと考えられますので、できれば期限の当日中に出すようにしましょう。
土日祝日でも対応してくれる「ゆうゆう窓口」から郵送する
期限当日に確定申告をする方法には、郵便局の窓口から郵送する方法もあります。
郵送で行われた確定申告の場合、その提出日は、通信日付印の日付で判定されるため、期限当日でも郵便局の窓口で受理してもらえば、当日の確定申告に間に合います。
そして郵便局の営業時間外であっても、「ゆうゆう窓口」なら21時ごろまで提出できる場合があります。
「ゆうゆう窓口」の取扱時間は郵便局によって異なりますので、郵便局のホームページでご確認ください。
(参考)郵便局HP:ゆうゆう窓口・集荷に関する連絡先を調べる
httpss://www.post.japanpost.jp/shiten_search/index.html
郵送方法については普通郵便で問題ありませんが、期限当日の場合は、書留、特定記録、レターパックのように後から日付を確認できる郵送方法を選んだほうが安心です。
なお、郵送ではなくゆうパック、ゆうメール、ゆうパケットのような荷物扱いの配送では、到着主義が採用され、税務署に届いた日が確定申告をした日とみなされてしまうため、期限当日の確定申告には利用しないようにしましょう。
また、ポストに投函してしまうと、回収のタイミングによって通信日付印がその日のものにならないことがあるため、期限当日は必ず郵送窓口から確定申告をしてください。
期限の最終日前にe-Taxで申告する
期限当日に確定申告をする方法には、確定申告のデータを、国税庁のe-Taxを使って期限当日に送信(電子申告)する方法もあります。
e-Taxとは、国税に関する申告書などのデータを送信するシステムのことで、確定申告の期間中であれば、24時間いつでも使用することができます。
ただし、メンテナンス時間があったりシステムがたまにダウンしたりするので、できれば期限の最終日前に、ゆとりをもって使用することをお勧めします。
期限の最終日前の対応を勧める他の理由としては、e-Taxで確定申告をするにあたって、①e-Taxに対応した確定申告のデータの作成と②e-Taxの利用開始手続きの2つが必要となることにあります。
まず①については、国税庁の確定申告所等作成コーナーやe-Tax対応の会計ソフトなどで確定申告のデータを作成する必要があります。必要書類の準備が済んでいれば、期限当日でも不可能ではありません。
これに対し、②の手続きには事前の準備が必要です。
手続きにはいくつかやり方があって、利用しやすいのは「ID・パスワード方式」か「マイナンバーカード方式」になります。
「ID・パスワード方式」は、事前に税務署職員の対面による本人確認を受け、e-Taxで確定申告をする際に必要なIDとパスワードの交付を受ける方法です。
「マイナンバーカード方式」は、e-Taxで確定申告をする際にマイナンバーカードとICカードリーダー(またはカードリーダー機能を備えたスマホ)をパソコン等に接続する方法になります。
e-Taxによる確定申告は、他の2つの方法に比べると初回の準備にやや手間がかかるのですが、紙による確定申告での添付書類を一部省略できたり、個人事業主であれば青色申告特別控除の55万円を65万円に引き上げることができたりする利点があります。
確定申告が期限に間に合わない場合は期限後申告をする
確定申告の期限に間に合わなくても、期限を過ぎて確定申告をすることはできます。
しかし、その場合、法律上「期限後申告」という扱いになり、期限内に行った確定申告よりも納税額の面で不利な扱いを受けることがあります。
具体的には、青色申告特別控除が減少したり、本来の税金とは別に罰則としての税金が発生したりします。
ただし、期限を過ぎてもなるべく早く自主的に確定申告をすることによって、罰則の税金については軽減できる可能性があります。
65万円の青色申告特別控除が受けられなくなる
不動産所得や事業所得について青色申告による確定申告をする場合、一定の要件を満たせば、青色申告特別控除額として55万円(e-Taxで申告することなどによって最大65万円までアップ)の控除を受けることができます。
しかし、55万円(最大65万円)の控除を受けるには、期限内に確定申告を行うことと、その確定申告の際に青色申告決算書(貸借対照表や損益計算書を含む書類)を添付することが必要になります。
期限後の確定申告でも青色申告をすることはできますが、この場合、控除額は10万円に引き下がってしまいます。
期限後申告をした場合には罰則がある
期限後申告をすると、申告期限に遅れた罰として、申告した所得税とは別に、無申告加算税と延滞税が発生することがあります。
無申告加算税は確定申告の期限から遅れるほど、延滞税は法定納期限から納税が遅れるほど高額になります。
期限内に申告できなかった場合に無申告加算税が課せられる
無申告加算税とは、期限後申告をした時、期限後申告の修正申告をした時、期限内に確定申告をしなかった人に対する更正や決定(税務署が納税額を決める処分)があった時に、その納税額に対して課せられる、罰としての税金です。
期限後の確定申告が遅れるほど負荷が重くなる
無申告加算税の税率は、原則5~15%です。
税務署から調査のための通知を受けてから確定申告をしたり、税務署から処分を受けることを予知してから確定申告をしたりすると、より高い税率が適用されます。
「予知」があったかどうかは、期限後申告をした経緯や、期限後申告と調査の関連性などの事情を総合考慮して判断されます。
「予知」があると認められた場合、過去の確定申告においても無申告加算税を課せられたことがあると、より高い税率が適用されることがあります。
さらに今回の確定申告(期限後申告)において仮装や隠蔽を行った事実が発覚すると、最大で50%にもなる「重加算税」が、無申告加算税の代わりに課せられます。
期限後申告等の時期 | 確定申告の期限 ~調査通知前 | 調査通知後 ~更生又は決定の予知前 | (調査通知の有無にかかわらず) 更生又は決定の予知後 | |
無申告加算税 | 通常 | 5% | 10% (15%)※1 | 15% (20%)※1 |
上記のうち、過去5年内に同じ税目で無申告加算税等(※2)あり | 加算なし | 加算なし | 25% (30%)※1 | |
重加算税 | 隠蔽や仮装の事実がある場合 | 加算なし | 加算なし | 40% |
上記のうち、過去5年内に同じ税目で無申告加算税等(※2)を課されたことがある | 加算なし | 加算なし | 50% |
※1( )内の税率は、期限後に行った確定申告によって納める所得税が50万円を超える場合、その超過分に適用される税率です。
※2「無申告加算税等」…無申告加算税又は重加算税
●納税額60万円の期限後申告をした場合(調査通知前)
→無申告加算税の額:3万円
(計算式)
60万円×5%=3万円
●税務署からの連絡等によって確定申告をしなければならなかった所得の存在が税務署にバレているとわかり、期限後申告をした場合(過去に違反はなく、仮装・隠蔽の事実もない)
→無申告加算税の額:9.5万円
(計算式)
50万円以下の部分:50万円×15%=7万5千円
50万超の部分:(60万円ー50万円)×20%=2万円
申告加算税が課せられないケースもある
期限後申告をなるべく早めに自ら行うことによって、無申告加算税がかからないことがあります。
具体的には、下記の2つを満たす場合、無申告加算税は課せられません。
- 更正又は決定の予知がある前に期限後申告を、法定の確定申告期限から1か月以内にすること
- 期限内申告書を提出する意思があったと認められる「一定の要件」に該当すること
下記のアとイの両方に該当する場合をいいます。
ア:その期限後申告の納付税額の全額を、法定納期限(期限後申告書を提出した日)までに納付していること
イ:その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年の間に、無申告加算税等を課されたことがなく、かつ、過去にこれらの条件を満たすことによって無申告加算税の不適用を受けていないこと
納期限から納付完了までの期間の延滞税が課せられる
延滞税とは、期限までに納税をしていない場合、その期限の翌日から納税までにかかった日数に応じて発生する、未納税額の利息に相当する税金です。
確定申告における納税の法定納期限は、確定申告の期限と同じ3月15日ですので、たとえば期限後申告を5月15日に行うと、無申告加算税に加えて、2か月分の延滞税も発生することになります。
延滞税の計算式は、次のようになります。
納付すべき本税の額(※)×延滞税の年率×納付までの日数÷365日
(※)1万円未満なら延滞税は0円です。
延滞税は、上記のとおり日割計算をしますので、期限後申告やそれに対する納税が遅れると、日ごとに負担が増えます。
さらに延滞税の年率には、「納期限」の翌日から2か月を境に年率が大きく上がるという特徴があります。
年率は、毎年若干見直されますが、参考まで2022年中に適用される延滞税の年率は、下記のとおりです。
納期限の翌日から2か月まで | 年2.4% |
2か月経過後 | 年8.7% |
ここでいう「納期限」とは、期限「内」の確定申告であれば「法定納期限」と同じで原則3月15日ですが、期限「後」の確定申告であれば「期限後申告をした日」になります。
つまり、期限後申告をしたその日に納税をした場合、法定納期限から遅れた日数に対する延滞税は発生しますが、2か月経過後の税率が適用されるかどうかは、期限後申告をした日を基準に判定されるということです。
ややこしいので、具体的な計算例で見ていきましょう。(年率は2022年のものを便宜上使用します)
6月1日(3月16日から78日目)に納税額60万円の期限後申告をし、その日に納税した場合
60万円×年2.4%×78日/365日≒3,000円(100円未満切り捨て)
6月1日に上記の期限後申告をし、9月1日に納税した場合
・納期限の翌日から2か月(3/16~8/1)まで…(ア)
60万円×年2.4%×139日/365日
・2か月以後(8/2~9/1)…(イ)
60万円×年8.7%×31日/365日
・(ア)+(イ)≒9万9,000円(100円未満切り捨て)
まとめ
確定申告は、期限当日であっても、税務署への提出・窓口からの郵送・e-Taxによる電子申告によってすることができます。
期限を過ぎると納税額の面で不利になるため、期限内の確定申告として扱ってもらえる方法で申告するようにしましょう。
また、期限を過ぎた後は、なるべく早く自主的に期限後申告をすることによって、罰則の税金を軽減できます。
最悪のケースは期限を過ぎても確定申告をしないまま放置し、税務調査で税額を決定され、それに対して加算税等の罰が発生することです。
期限内に確定申告書を作成することが難しい場合は、なるべく早く税理士に相談しましょう。
いかがでしたでしょうか。
今年ももう終わりに近づき、個人事業主の方や、副業されている方、医療費控除・寄付金控除等を受ける方など、確定申告が必要となる方が多くいらっしゃるかと思います。
何かと忙しい1~3月、つい後回しにしてしまいがちな確定申告ですが、期限が過ぎた際のデメリットを事前に理解しておくことが大切です。
個人で難しい場合には、お気軽に近くの税理士にご相談ください。
まいど!西新宿の税理士 中村です!
今回は【2023年確定申告の期限】をキーワードに、確定申告の基本を解説しております!
是非ご一読ください!