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経理の年間スケジュールや月ごとの業務内容を税理士事務所が解説

税理士 中村太郎

まいど!西新宿の税理士 中村です!

経理業務の多くは年ごとのルーティンワークとなっており、1年分のスケジュールを確認することで、業務の全体像を把握しやすくなります。

この記事では、経理の年間スケジュールについて解説します。

経理業務とは

経理業務とは、会社の財務や業績を管理するための日々の記帳や、税務など行政機関への手続きを行うものです。

具体的には、日々の売上や経費の仕訳の入力、入金や出金の確認、月末・年度末の決算、年末調整、会社の税務や社会保険労務に関する書類の作成や提出などを行います。

経理業務は、いわゆる間接部門の業務であり、売上高に直接貢献する業務ではありません。

しかし、過去の経営判断の検証や、将来の投資や経営戦略の策定には、正しい財務会計の情報が不可欠であり、それを作成する経理担当者は、会社の持続や成長において重要な役割を担っていると言えます。

経理の業務スケジュールを決める要素

経理の年間スケジュールは、行政機関における手続きのスケジュールや、その会社の決算月などのスケジュールが関係します。

行政機関の手続きのスケジュール

会社の税務や社会保険労務には、行政機関へ提出すべき書類があり、その提出期限は各手続きによって異なります。

中小企業の場合、経理担当者が主に行うものは、税務署、都道府県、市町村に対して行う税務申告や、社会保険や労働保険関係の書類提出などになります。

上場企業の場合は、さらに監査法人による監査の対応、四半期ごとの報告や年に一回の有価証券報告書の提出、IR情報の更新などの業務が加わります。

会社の年間スケジュール

会社の年間スケジュールは、その会社の決算月や機関設計によって変わります。

例えば、3月決算法人の場合、その事業年度は4月1日~翌年3月31日までです。

この場合、経理担当者は3月末に帳簿を締め、主に4月に決算業務を行うことになります。

決算業務で作成した財務諸表などの書類は、多くの企業では株主総会の承認を5月~6月に受けます。

これにより確定した決算の内容で法人税や消費税の申告を行うことが一般的な流れになります。

経理業務の年間スケジュール

それでは、一般的な経理業務の年間スケジュールを解説します。

市区町村などの期限は新宿区のルールで解説していますが、自治体によって若干異なる可能性がありますのでご注意ください。

1月のスケジュール

源泉所得税の納付(7月~12月分)

源泉所得税の納期の特例の承認を得ている事業者(※)は、7月~12月分の支払いから徴収した分を1月20日までに納税します。(それ以外の事業者は年12回、翌月10日まで)

(※)給与の支給人員が常時10人未満で特例の申請をしている事業者

法定調書合計表と支払調書の作成・提出

給与や退職金、士業への報酬、不動産の一定の取引などを集計して法定調書合計表を作成し、1月末までに税務署に提出します。

必要な取引については支払調書や源泉徴収票も一緒に提出します。

給与支払報告書の作成・提出

役員や従業員の給与支払報告書を作成し、各人の住所地の市区町村に提出します。

償却資産の申告書の作成・提出

その企業が1月1日時点において保有する償却資産(不動産など一定のものを除く事業用資産のこと)を、1月31日までに資産の所在する市町村に申告します。

申告した償却資産の内容と不動産の情報から、市町村がその年度分の固定資産税及び都市計画税(以下、固定資産税)を計算し、6月頃に通知されます。

通知された固定資産税は、第1期~第4期の4回に分けて納税します。

2月のスケジュール

固定資産税(第4期分)の納付

前年度分の最後(4回目)の固定資産税を納付します。

3月のスケジュール

決算の準備

商品等の在庫や貯蔵品の棚卸しをして、当期分の在庫を確認します。

また、決算に必要な書類などを早めに提出してもらえるよう各部署に呼びかけます。

協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率の改定

協会けんぽに加入している企業は、徴収する保険料率が見直されますので、給与計算に反映させます。

4月のスケジュール

決算整理業務

未処理の取引や減価償却費の計上などの仕訳を行います。

財務諸表の作成

貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書などの作成を行います。

給与支払報告に係る給与所得者異動届出書の提出

4月1日付けで給与の支払いを受けなくなった方がいる場合は、4月15日までに市町村に提出します。

5月のスケジュール

法人税、消費税、法人事業税、法人住民税の確定申告と納付

各税務申告書を作成し、法人税と消費税は税務署に、法人事業税や法人住民税(都道府県民税や市町村民税)は都道府県税事務所や市町村役場にそれぞれ申告・納税を行います。

正確な税目と申告先は、次を参考にしてください。

申告と納税の期限は事業年度終了から、原則2ヶ月以内です。

つまり、3月決算法人の場合は5月末が期限になります。

なお、会社の定款等によって事業年度終了から2ヶ月以内に株主総会が開催されず、そのせいで決算の承認が受けられないなどの理由があれば、申告期限の延長の申請をすることが可能です。

この場合、原則として1ヶ月の延長、つまりこの場合は6月末まで申告と納税の期限を延長することができます。

自動車税、軽自動車税の納付

4月1日時点に所有している車両を基準に、自動車税・軽自動車税が課されますので、通知された税額を5月31日までに納付を行います。

社用車などがあれば納付を忘れないようにしましょう。

7月のスケジュール

源泉所得税の納付(1月~6月分)

源泉所得税の納期の特例の承認を得ている事業者は、1月~6月分の支払いから徴収した分を7月10日までに納税します。(それ以外の事業者は年12回、翌月10日まで)

(※)給与の支給人員が常時10人未満で特例の申請をしている事業者

算定基礎届の提出

各人の4月~6月の給与の金額等を記載した算定基礎届を、7月10日までに年金事務所に提出します。

9月からの社会保険の基礎となる標準報酬月額を計算するための手続きです。

労働保険の年度更新

前年度の確定した労働保険料(労災保険料と雇用保険料)と当年度の概算の労働保険料を併せて、6月1日~7月10日までの間に「労働保険概算・確定保険料申告書」を金融機関または都道府県労働局・労働基準監督署に提出し、保険料を納付します。

9月のスケジュール

標準報酬月額の変更

7月の算定基礎届の内容に基づき、各人の標準報酬月額が変わります。給与計算に反映させることが必要です。

固定資産税(第2期分)の納付

11月のスケジュール

法人税、法人事業税、法人住民税の中間申告・納付

前事業年度の納税額が一定額以上である場合、中間申告・納付を行います。仮決算による中間申告を行うことも可能です。

年末調整の準備

年末調整のための準備を行います。前年からの変更点を「年末調整のしかた」などで確認し、従業員から経理担当者に、年末調整のための各種申告書を提出してもらいます。

12月のスケジュール

年末調整

最後に支給する給与や賞与から差し引く源泉徴収税額に対し、年末調整を行います。

各人から提出を受けた年末調整のための各種申告書の内容に基づいてその年の所得税額を計算し、差額を調整します。

特別徴収した個人住民税の納付(6月~11月分)

納期の特例の承認を得ている事業者(※)は、6月~11月分の支払いから特別徴収した個人住民税を12月10日までに納税します。(それ以外の事業者は年12回、翌月10日まで)

(※)給与の支給人員が常時10人未満で特例の申請をしている事業者

固定資産税(第3期分)の納付

経理の年間スケジュールカレンダー

一般的な経理業務の年間スケジュールをカレンダーでまとめました。

経理業務を効率化するなら

経理業務には会計や税務の知識や実務経験が求められるため、ちょうどよい人材を採用するにしても未経験者を育てるにしても、それぞれに難しさがあります。

限られた人員で経理業務をこなすには、業務の効率化への取り組みが重要です。

そこで、経理全般を税理士事務所にアウトソーシング(外部委託)することも、一つの選択肢になります。

税理士事務所と顧問契約を結び、経理を含む会社経営に関するさまざまな支援を包括的に受けることも可能ですし、不得意な部分だけをスポットで依頼することも可能です。

例えば、次のようなアウトソーシングの方法が考えられます。

経理代行(記帳代行)の利用

経理業務の中でも、日々の記帳や請求書の発行、経費精算などの業務は多くの時間を必要とします。

経理の専任者がおらず、経営者自らが経理をしている場合、本業に集中できないことも少なくありません。

こうした状況であれば、税理士事務所の経理代行(記帳代行)を利用し、領収書などの書類やデータを預けることで、記帳から税務申告までの手続きを代行してもらうことがおすすめです。

決算代行の利用

日々の仕訳を担当できる方がいても、決算や税務申告の手続きは経験が浅いため任せられないという場合もあるでしょう。

また、専任者の急な退職や休業により、決算や税務申告が難しい場合もあるかも知れません。

そうした場合は、決算代行のみ依頼できる事務所もあります。

税理士 中村太郎

当事務所では、決算や税務申告のスポット相談に対応しています。期限が迫っている場合でも、超特急で仕上げられますので、お困りの際はご連絡ください。

クラウド会計の導入支援

経理業務を効率化するには、クラウド会計ソフトの導入も一つの選択肢です。

クラウド会計とは、インターネットを通じて利用する会計ソフトのことであり、経理の自動化に役立つさまざまな機能が充実しています。

例えば、銀行口座やクレジットカードのデータと自動的に連携して仕訳や記帳を自動化することも可能です。

一度導入すれば、作業が簡素化され、社内の人材で経理業務を進めやすくなるでしょう。

また、電子帳簿保存法に対応していることがほとんどであるため、ペーパーレス化を進めることもできます。

税理士 中村太郎

当事務所では、クラウド会計ソフトの導入から運用までのサポートも行っています。ぜひご相談ください。

まとめ

経理担当者は企業のお金の管理をする重要な業務を担います。

年間スケジュールに関して法人の決算月によって異なりますが、繫忙期は忙しくなりがちです。

経理担当者は年間スケジュールをあらかじめ把握し、先回りして準備を行い、余裕を持って業務を進められるようにしましょう。

業務効率化には記帳代行、決算代行の利用、クラウド会計の導入があります。

税理士 中村太郎

いかがでしたでしょうか。

今回は会社の経理の年間スケジュールについて解説いたしました。

経理業務は正しい経営判断をするための基礎であり、正確な作業が求められます。

しかし、限られたリソースの中で正確で速い経理業務を実現することは容易ではありません。

当事務所では、経理業務のアウトソーシングや効率化のためのサポートなど幅広い経営支援のサービスを提供しています。

経理業務でお困りの際や効率化を検討されている場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

ABOUT US
新宿の税理士「中村太郎」
税理士業界経験20年超。過去、300社を超える会社、さまざまな業種・企業の税務・財務・融資・補助金申請などの業務を経験してきました。その経験と、士業はサービス業であるという精神から、ご満足頂けるご提案やサービス提供が可能であると自負しております。貴社の真のビジネスパートナー、経営者の方の「右腕」として弊社をご活用下さい。