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マンションを購入したら節税対策になる?

税理士中村太郎

まいど!西新宿の税理士 中村です!

今回は【マンションの購入が節税対策になるのか】解説していきます!

是非ご一読ください!

賃貸マンション購入時に所得税と相続税の税金対策ができる

マンション購入による節税対策をより効果的に行うためには、そのマンションに住むのではなく、賃貸することが有効です。

マンションの賃貸収入から計算される「不動産所得」の損失(マイナス)を、本業による給与所得などと損益通算することによって、毎年発生する所得税・住民税の節税や、お子さんなどのための相続税の節税対策になるためです。

マンションの賃貸収入から計算される「不動産所得」の損失(マイナス)を、本業による給与所得などと損益通算することによって、毎年発生する所得税・住民税の節税や、お子さんなどのための相続税の節税対策になるためです。

マンションの購入による節税対策をお考えの方は、節税に強い中村太郎税理士事務所へお気軽にご相談ください。

マンション購入代金を減価償却費として計上して節税する

マンションを賃貸することによって生じる所得を、不動産所得といいます。

不動産所得の金額は、毎年1月1日~12月31日の間に生じた賃貸収入から必要経費を差し引いた金額になります。

不動産所得の計算式

賃貸収入-必要経費

毎年発生する所得税・住民税は、本業の所得や不動産所得と合算して計算されます。

たとえば、給与所得が500万円で不動産所得が100万円であれば、その年の合計所得金額は600万円になり、この600万円から税金が計算されます。

したがってマンションを賃貸することは、本来なら所得税等の節税対策にはなりません。

しかし、不動産所得には、「減価償却費」という多額の必要経費を毎年計上できるという特徴があります。

減価償却費とは、マンションの建物部分にあたる取得価額を毎年分割して必要経費に算入するもので、数百万円規模の経費になります。(土地は対象外)

減価償却費の計算例

●鉄筋コンクリート造の新築マンション(住宅用)を購入

●建物部分の取得価額:1億円

●減価償却費:1年あたり220万円(1億円×償却率0.022)×47年

減価償却費は、賃貸を開始する前に支払ったマンションの取得価額を分割して後の必要経費にするものですので、計上している期間中(上記であれば47年間)は支出をせずに計上できる必要経費となります。

その年の賃貸収入の多寡にかかわらず計上される点も重要です。

もちろん、減価償却費のほかにも、賃貸経営にはさまざまなコストが発生します。

以上のしくみから、たとえば、賃貸を開始して間もない時期、入居者を募集している最中などは必要経費が賃貸収入を上回り、不動産所得が、計算上マイナスになることがあります。

このマイナスは、給与所得など他の総合課税の所得と損益通算(所得のプラスとマイナスを相殺すること)ができます。

たとえば、給与所得が500万円で不動産所得がマイナス200万円であれば、その年の合計所得金額は300万円になります。

会社員であれば1年を通じて500万円の給与から税金が差し引かれますので、その年が終わったら、ご自身で確定申告書を提出することによって、差額の200万円に対応する税金を還付してもらうことができます。

損益通算の節税効果は所得が多い人ほど高い

損益通算による節税効果は、人によって異なります。

理由は、所得税率が次のように定められているからです。

所得税の税率
課税所得税率
195万円未満5%
195万円以上330万円未満10%
330万円以上695万円未満20%
695万円以上900万円未満23%
900万円以上1,800万円未満33%
1,800万円以上4,000万円未満40%
4,000万円以上45%

これは課税所得(※)のうち、195万円未満の部分は5%、195万円~330万円以下の部分は10%…のように、金額の高い部分ほど税率が上がるしくみであることを表しています。これを超過累進税率といいます。

この税率のしくみから、本業の所得が多い人ほど損益通算による節税効果は高くなります。

仮にその年の不動産所得がマイナス300万円であるとし、課税所得が400万円の人と1,000万円の人で減少する税額を比較してみましょう。

  • 400万円の場合

→節税額:約62万円

  • 1,000万円の場合

→節税額:約109万円

同じマイナス300万円でも、課税所得400万円の人であれば約62万円ですが、課税所得1,000万円の人であれば約109万円にもなります。

原因は、減少した所得に対応する税率の違いにあります。

損益通算によって減少する所得に対応する税率が高い人ほど、減少する税額も多くなるということです。

なお、この減税額は、所得税(5%~45%)と住民税(10%)を合わせています。

確定申告で還付されるのは所得税であり、住民税については、確定申告の内容をもとに翌年度分が自動的に計算されるしくみとなります。

(※)給与所得などによる合計所得金額から、所得控除(社会保険料控除や基礎控除など)を差し引いた額。

マンションと同額の現金を相続するならマンションを相続する方が安い

マンション購入は、ご自身の相続によってお子さんなどが負担する相続税の節税対策にもなります。

相続税もまた最高税率55%の超過累進税率となっており、節税対策をしなければ、お子さんらの手に渡る財産が税金の分だけ目減りします。

相続税の節税対策であれば、購入するマンションが自宅用であってもそれなりの節税効果を得られますが、賃貸をしている状態のほうが節税効果は大きくなります。

マンションは購入するだけで相続税の節税対策に

相続税は、時価をベースに相続財産を評価した金額から計算されます。

評価額の計算は、相続税申告のための独自の方法があります。

その方法によると、一般的に不動産の評価額は、土地は取引価格の約8割、建物は新築価格の約5~6割ほどに減額されます。

このことは国税庁が定める路線価(土地の評価に使用する道路の価額)が公示地価(一般取引の指針となる金額)の80%を目途に定められていることや、建物の評価に使用される固定資産税評価額が一般的に新築工事価格の5~6割程度で計算されるためです。

これにより、たとえば現金1億円を保有した状態で相続を迎えると「1億円」が相続税の対象になりますが、生前にその1億円で土地を購入しておくと「1億円」が「約8,000万円」の財産に置き換わることになります。

マンションの場合、土地部分(敷地利用権)と建物部分(区分所有権)に分けて評価をしますが、土地全体・建物全体の評価額に各権利の持分割合を乗じる違いがあるのみで、計算方法は同じです。

つまりマンションの購入は、それ自体が相続税の節税にとても有効な対策であるといえます。

マンションは賃貸すればより効果的な節税対策になる

相続の時に不動産を賃貸している場合、建物は「貸家」、土地は「貸家建付地」の評価方法が適用され、いずれも賃貸していない状態の相続税評価額から、さらに減額できます。

建物(貸家)

建物の固定資産税評価額×(1-借入権割合(30%)×賃貸割合(※))

賃貸していない状態から、最大30%の減額が可能です。

(※)賃貸割合…賃貸可能な床面積のうち、相続時に賃貸していた床面積の割合。満室であれば100%

土地(貸家建付地)

土地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合(30%)×賃貸割合)

賃貸していない状態から、9%~27%の減額が可能です。

土地は「小規模宅地等の特例」の適用要件を満たすことによって、さらに最大50%の減額ができます。

住む場合は住宅ローン控除を利用できる

購入したマンションを賃貸せず、ご自身で住む場合は、住宅ローン控除(住宅ローン残高×0.7%の所得税の控除)の適用によって節税できる可能性があります。

  • マンションの購入による節税対策を考えている
  • マンション購入で節税対策になる可能性があるのか知りたい

という方は、節税に強い中村太郎税理士事務所へお気軽にご相談ください。

控除額の計算に使用する住宅ローン残高の上限や控除できる期間は、入居する年によって決定します。

近年は環境に優しい高性能の住宅や、中古住宅に対する控除が優遇されています。

令和4年~令和7年の間に入居する場合の控除限度額・控除期間については下記を参考にしてください。

新築・未使用・買取再販に該当するマンション
住宅の種類入居年ローン限度額控除期間
認定住宅令和4年・令和5年
令和6年・令和7年
5,000万円
4,500万円
13年
特定エネルギー消費性能向上住宅令和4年・令和5年
令和6年・令和7年
4,500万円
3,500万円
13年
エネルギー消費性向上住宅令和4年・令和5年
令和6年・令和7年
4,000万円
3,000万円
13年
上記以外の住宅令和4年・令和5年
令和6年・令和7年
3,000万円
2,000万円
13年
10年
中古マンション
住宅の種類居住年借入限度額控除期間
認定住宅・特定エネルギー
&エネルギー消費性能向上住宅
令和4年~令和7年3,000万円10年
上記以外の住宅令和4年~令和7年2,000万円10年

認定住宅等の定義は、こちらでご確認ください。

(参考)国税庁:認定住宅等の新築等をした場合

httpss://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1221.htm

賃貸マンションの節税対策には青色申告が有効

サラリーマンの方がマンションを賃貸している場合、その不動産所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。

また、損益通算によって源泉徴収された所得税等の還付を受けたい場合も、確定申告書の提出が必要です。

これらの確定申告は、税務署に手続きをすれば青色申告で行うことができるようになります。

青色申告には、必要経費や控除をたくさん計上できるさまざまな特典があるため、節税を意識する方は手続きをしましょう。

青色申告の主な特典

必要経費に関する主な特典
  • 純損失の繰越控除(3年)
  • 貸倒引当金の一括評価(5.5%)
  • 30万円未満の資産を取得した時の特例
  • 事業専従者控除、青色事業専従者の給与の必要経費算入    など
青色申告特別控除

不動産所得の黒字の範囲内で、10万円の控除を受けることができます。

さらに、期限内申告などの一定要件を満たす場合は、黒字所得の範囲内で55万円の控除(さらに要件満たせば65万円の控除)が受けられます。

下線部分は賃貸の規模が事業的規模(5棟以上または10室以上の貸付)にあたる場合のみの特典です。

青色申告を開始するには

個人事業の開業届と青色申告承認申請書の2つを税務署に提出することで、サラリーマンでも青色申告者になることができます。

ただし、青色申告を開始した年から、帳簿のつけ方や帳簿や関係書類の保存に関する要件がやや厳しくなります。

慣れるまでは、会計事務所の記帳代行サービスなどを活用すると安心です。

マンションを購入して節税ができないケース

節税対策としてマンションを購入する場合、下記の点に注意が必要です。

支出の方が多くなる可能性がある

マンション購入では、多くの場合、不動産投資ローンの返済をしながら賃貸経営をしていくことになります。

不動産投資ローンの返済額は、一般的に高額です。

安定した賃貸収入が得られなければ、返済による支出の方が多くなってしまい、豊かな日々のために購入したはずが本末転倒となってしまうことがあります。

減価償却費による節税効果には限りがある

減価償却費による節税効果を得ることができるのは、耐用年数の間のみです。

住宅の耐用年数
構造耐用年数

鉄筋コンクリート造

鉄骨鉄筋コンクリート造

47年

鉄骨造

(右は骨格材の肉厚)

3ミリ以下19年
3ミリ超4ミリ以下27年
4ミリ超34年
木造22年
木骨モルタル造20年

マンションの場合、鉄筋コンクリート造が多く、新築であれば47年の耐用年数が適用されます。

47年ですので短いとはいえませんが、限りがあることは知っておかなければなりません。

また、中古マンションであれば、現状で耐用年数を見積もるか簡便法によって耐用年数を計算するため、47年よりも短くなります。

耐用年数を経過すると、減価償却費による必要経費がなくなりますので、不動産所得の増加による所得税・住民税の税負担が生じます。

さきほどの損益通算による節税効果と同様で、本業所得が多い人ほど増税の影響も大きくなってしまいます。

住宅ローンと不動産投資ローンの金利相場

住宅ローン:0.3%台~1%台

不動産投資ローン:1.5%~2.5%台

そのため、住宅ローンを利用している状態でその物件を賃貸することはできません。

原則として、住宅ローンをその場で返済するか、不動産投資ローンに借り換えることになります。

もし借入先の金融機関に無断で賃貸した場合、ローン契約の違反となってしまい、借入金額を一括返済させられる可能性もあります。

ただし、転勤などによるやむを得ない理由があれば賃貸が認められるケースもあるようです。

金融機関に相談してみましょう。

まとめ

マンション購入による節税対策をするには、賃貸することが有効であることや、自宅として購入する場合の住宅ローン控除などについて解説しました。

マンションを賃貸する場合、基本的に耐用年数が長くなるため、1年あたりの減価償却費は少額になります。

そのため、耐用年数の短い中古物件や木造アパートに比べると、初期の節税効果にはどうしても差が生じてしまいます。

一方で、耐用年数が長いことには利点もあります。

たとえば、マンションの耐用年数が経過する頃に本業を退職していれば、たとえ年金の受給を開始していても、現役の時ほど大きな増税の影響を受けることは少ないはずです。

課税所得が多い現役時代に耐用年数が過ぎてしまい、賃貸収入は増えていないのに翌年からローン返済+増税額で資金繰りが悪化するリスクも抑えることができます。

購入してから後悔することがないよう、税理士に相談し、節税効果のシミュレーションをしておくと安心です。

税理士中村太郎

いかがでしたでしょうか?

マンションを購入する際には、資金繰りや節税対策など、様々な面から検討することが大切です。購入を検討の方はぜひお近くの税理士にご相談ください。

ABOUT US
新宿の税理士「中村太郎」
税理士業界経験20年超。過去、300社を超える会社、さまざまな業種・企業の税務・財務・融資・補助金申請などの業務を経験してきました。その経験と、士業はサービス業であるという精神から、ご満足頂けるご提案やサービス提供が可能であると自負しております。貴社の真のビジネスパートナー、経営者の方の「右腕」として弊社をご活用下さい。