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知らないと損!サラリーマンの節税完全ガイド|賢く税金を減らす方法

税理士中村太郎

まいど!西新宿の税理士 中村です!

今回は【サラリーマンができる節税対策】を解説していきます!

是非ご一読ください!

そもそもサラリーマンが支払う税金にはどんなものがある?

まずはサラリーマンが支払う税金について解説します。

サラリーマンの税金は所得税と住民税

サラリーマンの給与には、所得税及び復興特別所得税(以下、所得税)と住民税がかかります。

これらは給与から自動的に引かれるため、何となく受け入れている方が多いと思うのですが、しくみを理解すれば、節税をすることが可能です。

正しい節税の知識を身に付ければ、今年の年末調整で還付される税額を増やせるかも知れません。

節税の基本は「控除を増やす」

サラリーマンの所得税と住民税の額は、おおむね下記の計算式で決まります。

(給与所得※-所得控除)×税率=税額-税額控除

※1年間の給与やボーナスの総支給額-給与所得控除額

税額控除とは、計算された税金から直接差し引くことができる控除です。たとえば住宅ローン控除や配当控除などが該当します。

サラリーマンが節税をするには、所得控除や税額控除を増やすことが現実的です。

それぞれの控除にはかなりの種類があり、見落としているケースが少なくありません。

そのため、所得控除や税額控除の見落としがないかをチェックするだけでも、今より節税できる可能性があります。

また、すでに控除を十分に活用できているベテラン会社員の方であれば、控除を増やす以外の方法による節税にも関心があるのではないでしょうか。

最近、サラリーマンの方からよくご質問をいただくのは、投資や副業に関する節税方法についてです。

「本業以外でも稼げる手段を身に着けたい」と考える方が、ここ数年でとても多くなったと感じます。

節税対策を始める前の準備

節税対策を始めるにあたっては、まず自分の現在の収入や税金の状況を把握することがとても大切です。

年末調整や確定申告でスムーズに節税効果を得るためにも、事前の準備を怠らないようにしましょう。

源泉徴収票を確認する

サラリーマンの方が節税対策を始める際に、まず確認すべき書類が「源泉徴収票」です。

源泉徴収票には、その年に支払われた給与の総額、各種控除の内容、天引きされた所得税の額など、重要な情報がすべて記載されています。

たとえば、「所得控除が正しく反映されているか」「すでに適用されている控除があるかどうか」などを源泉徴収票で確認することで、見落としていた控除や、新たに申告できる可能性のある控除がないかをチェックできます。

源泉徴収票は通常、年末調整後に勤務先から配布されます。

手元に届いたら、まず内容に誤りがないかを確認し、今後の節税計画に役立てましょう。

必要な書類を準備する

控除を受けるためには、各種の証明書類が必要になります。

年末調整や確定申告の時期になって慌てないよう、事前に以下のような書類を揃えておくことをおすすめします。

  • 生命保険料控除証明書(生命保険会社から送付される)
  • 地震保険料控除証明書
  • iDeCoの掛金証明書(加入している金融機関から届く)
  • 医療費の領収書医療費通知(医療費控除を受ける場合)
  • ふるさと納税の寄附金受領証明書、またはワンストップ特例申請の控え
  • 住宅ローンの年末残高証明書(住宅ローン控除を受ける場合)

また、副業や投資をしている方は、それに関連する収支明細や帳簿、経費の領収書なども忘れずに保管しておきましょう。

書類の管理が不安な方は、月ごとや控除の種類ごとに分けてファイリングしておくと便利です。スマートフォンで領収書をスキャンしてクラウド管理するのも、今では主流の方法となっています。

年末調整でできる節税対策

ここからは年末調整で受けられる控除についてご紹介します。

配偶者・扶養・ひとり親・寡婦控除

年末調整で「扶養控除等申告書」や「配偶者控除等申告書」を作成し、勤務先に提出すればOKです。

「扶養控除等申告書」のみ、年の初めなどに作成しているはずですので、年内で変わったところがあれば、その部分のみを変更するという対応になります。

年末調整が終わった後に申告し忘れた控除があることに気が付いたときは、確定申告でも受けることができます。

 年末調整確定申告
配偶者(特別)控除

(配偶者控除等申告書、基礎控除と兼用)

扶養控除

(扶養控除等申告書)

ひとり親・寡婦控除

(扶養控除等申告書)

年末調整や確定申告で還付されるのは所得税のみですが、年末調整や確定申告の内容は市町村にも伝わりますので、控除を申告していれば、翌年度の住民税の計算にきちんと反映されます。

ご安心ください。

配偶者控除

同一生計の配偶者がいれば、受けられる可能性のある控除です。

ご自身と配偶者のそれぞれに所得制限があり、所得が低いほど優遇されます。

なお、配偶者の所得によって、控除の名称が配偶者特別控除に変わります。

自身の所得配偶者の所得
配偶者控除配偶者特別控除額

48万円以下

※( )は配偶者が

70歳以上

48万円超

~95万円以下

95万円超

~133万円以下

900万円以下

38万円

(48万円)

38万円

36万円

~3万円

900万円超

~950万円以下

26万円

(32万円)

26万円

24万円

~2万円

950万円超

~1,000万円以下

13万円

(16万円)

13万円

12万円

~1万円

扶養控除

16歳以上の同一生計の親族がいれば、受けられる可能性のある控除です。

ご自身に所得要件はありませんが、対象となる親族には48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)の所得要件があります。

親や子がパートやアルバイトなどをやめて収入が減った年に、対象を見落としやすいので注意してください。

ひとり親控除・寡婦控除

配偶者と離婚・死別した人や未婚の親であれば、受けられる可能性のある控除です。

いずれの控除も、ご自身の所得が500万円以下であることが条件となり、どちらの控除が適用できるかは、所得が48万円以下である同一生計の子や親族がいるかどうかによって変わります。

控除区分配偶者不在の原因(※)合計所得金額親族の状況
ひとり親控除未婚・離婚・生死不明500万円以下同一生計の子がいる

寡婦控除

(女性のみ)

夫と離婚500万円以下同一生計の親族がいる
夫と死別または生死不明500万円以下特になし

(※)再婚している場合や、住民票に未届の夫や未届の妻などとして記載された人がいる場合は対象外です。

離婚をした年や、同一生計の親や子が所得要件を満たすようになった年に見落としが起こりやすいので注意してください。

生命保険料控除

民間の保険会社の生命保険、医療や介護保険、個人年金保険などのうち、一定要件を満たす保険契約の保険料を支払っている場合に受けられる控除です。

控除の対象となる保険であれば、保険会社から「控除証明書」が送られてきます。

ご自身が保険料を支払っていれば、配偶者や親族に保険金が支払われる契約でも控除の対象となります。(個人年金は自身と配偶者の分に限られます。)

控除証明書が契約者ごとに送られてくるため、支払った保険料を、控除の区分ごと(生命・医療介護・個人年金の区分ごと。H23年以前の旧契約であれば生命・個人年金の区分ごと)に漏れなく集計することがポイントになります。

地震保険料控除

住宅や家財の地震等による損害を補償する損害保険料を支払っていれば、受けられる可能性のある控除です。

控除の対象となる保険であれば、保険会社から「控除証明書」が送られてきます。

ご自身が保険料を支払っていれば、同一生計の配偶者や親族の家屋や家財に対する保険でも控除の対象になります。

iDeCo

iDeCoもまた、投資金額の全額を所得控除にできるなど税制面でかなり優遇された制度です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

iDeCoは年末調整で適用可・繰越控除は確定申告を

iDeCoの所得控除は、年末調整で受けることができます。

「保険料控除申告書」の右下にある「小規模企業共済等掛金控除」の個人型確定拠出年金の欄に、1年分の掛け金額を記載すればOKです。

iDeCoの掛金控除は年末調整で受けられますが、年末調整で申告し忘れた場合や途中加入などで証明書が間に合わなかった場合は、確定申告で適用できます。

 年末調整確定申告備考
NISAなしなし証券会社にNISA口座を開設する
iDeCoの所得控除

(保険料控除申告書)

株式等の損失の繰越控除×損失発生年から毎年必要

確定申告でできる節税対策

これからは年末調整ではできない確定申告でできる節税対策をご紹介いたします。

医療費控除・セルフメディケーション税制

年間の医療費や医薬品の購入費などが、一定額を超えると受けられる控除です。

通常の医療費控除と、医療費控除の特例であるセルフメディケーション税制のどちらかを選択できます。

控除の種類通常の医療費控除特例(セルフメディケーション税制)
対象となる支払い

・医療機関で支払う治療等の費用

・治療等に必要な医薬品の代金

・治療等を受けるために

直接必要と認められる一部の費用

(上記にたいして民間保険や社会保険から金銭が支払われる場合は、その金額を控除します)

・ドラッグストア等で購入できる

スイッチOTC医薬品の代金

(対象の医薬品には値札等に

表示があります)

所得控除の額

上記のうち、10万円※を超える額

(※所得が200万円未満であれば

所得の5%)

上記のうち、1万2,000円を超える額

健康診断・予防接種など

一定の取り組み

不要必要

家族のために

支払ったもの

控除OK控除OK

なお、多くのご家庭では、ドラッグストア等で購入できる医薬品を常備しつつ、具合が悪ければ病院に行くという対応が一般的ではないでしょうか。

こうしたご家庭が共働きであれば、夫が通常の医療費控除で、妻がセルフメディケーション税制で控除を受けることも可能です。

ふるさと納税

好きな自治体に寄付をし、お礼の品をもらうというおなじみの制度です。

寄付した金額から2,000円を除いた金額が、翌年度の住民税などから控除されます。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

自宅を買った時の「住宅ローン控除」

ローンを組んで自宅を買うと、入居した年から「年末のローン残高×0.7%」の税額控除が受けられるようになります。

税額控除の対象となる「ローン残高」には上限があり、環境に配慮した性能の高い住宅ほど優遇されるしくみです。

控除できる年数は、新築住宅や一定の買取再販住宅は最大13年で、中古住宅は最大10年になります。

住宅ローン控除は2年以降、年末調整OK

住宅ローン控除(入居1年目)と雑損控除等は、年末調整では受けられません。

 年末調整確定申告

住宅ローン控除

(入居1年目)

×

住宅ローン控除

(2年目~控除期間終了まで)

雑損控除・災害減免法×

特定支出控除

サラリーマンが職務に必要な費用を自腹で支払い、その年間の支払額が、給与所得控除額の2分の1を超える場合に受けられる控除です。

対象となる支払い

●通勤費

●職務上の旅費

●転居費

●研修費

●資格取得費

●単身赴任などの場合の帰宅旅費

●図書費、衣服費、交際費など職務上の必要経費

かなりの金額の支払いがなければ対象にならない上、控除を受けるには、その支払いが職務に必要なものであることを勤務先に証明してもらう必要があります。

なかなかハードルは高いのですが、覚えておいて損はありません。

投資によるマイナスの繰越控除

株式などの売買で損失が生じても、証券口座の設定によっては、確定申告をしなくても配当金等との損益通算(相殺)が可能です。

しかし、それでも損失が残ってしまう場合は、確定申告をすることで、申告した損失を翌年3年間の株式等の売買益から控除することができます。

ただし、確定申告は、損失が発生した年から控除が終わる年まで連続して行う必要があります。

たとえば、損失が発生した翌年に売買益が出せず控除をしなかったとしても、損失をさらに翌年に繰り越すための確定申告書を提出しなければなりません。

副業や投資でさらに節税効果を高める方法

「生活をほんの少し豊かにしたい」「いつかは独立したい」など、さまざまな理由から副業に興味をお持ちの方もいらっしゃると思います。

サラリーマンの副業による節税方法をご紹介します。

事業所得・不動産所得での損益通算

副業による収入が、事業所得や不動産所得に分類される場合、各所得の計算上、生じた損失(マイナス)は、本業の給与所得と損益通算(相殺)することができます。

事業所得

製造業や農業、小売業、サービス業などによる幅広い所得

【計算式】事業収入ー必要経費

不動産所得

主に不動産の賃貸収入から生じる所得

【計算式】賃貸収入ー必要経費

サラリーマンの場合、副業の所得が20万円を超えなければ、確定申告をする義務はありません。

しかし、その所得が計算上マイナスであれば、確定申告(還付申告)をすることで給与から天引きされた税額が還付されます。

もちろん、翌年度の住民税にも反映されます。

青色申告

副業が軌道に乗って所得が増えてくると、その所得にも所得税や住民税がかかります。

この税負担をなるべく減らすには、青色申告承認申請書を税務署に提出し、青色申告による確定申告を始めることが有効です。

青色申告であれば、所得税や住民税の負担を減らすさまざまな特典を利用することができます。

青色申告の主な特典

●青色申告特別控除

→最大65万円を所得から控除可能

●欠損金の繰越控除

→翌3年間、マイナスを繰り越して翌年以降の所得から控除可能

●青色事業専従者給与

→親族(事業専従者に限る)に対する給与を必要経費に算入可能

サラリーマンの副業は雑所得に区分されるかも?

副業において時々問題になるのが、事業所得と雑所得の区分です。

副業が雑所得に該当すると、損益通算も青色申告もできず、節税する方法がかなり少なくなってしまいます。

令和4年10月、事業所得と雑所得の区分に関する改正通達とその解説文が国税庁から公表されました。

これによると、帳簿書類の保存さえも行われておらず、かつ、収入が300万円以下の業務であれば雑所得として扱われ、さらに、帳簿書類を保存していても、所得が僅少であったり営利性が認められなかったりすれば、その所得区分が事業所得になるかどうかは個別判断になるようです。

「所得が僅少」については、所得に収入金額が、例年300万円以下であり、主たる収入に対する割合が10%未満であると例示されています。

サラリーマンの方が副業を事業所得で申告する際は、今後、この改正通達の内容に注意する必要があります。

不安のある方は、税務署や税理士等にご相談ください。

(参考)国税庁:「所得税基本通達の制定について」の

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/index.htm

その他の節税対策

最後にサラリーマンができる節税対策をご紹介いたします。

新NISA

NISAとは、株式や投資信託などの運用益や配当金が非課税になる、個人投資家のための税制優遇制度です。
2024年から制度が大きく見直され、新NISAとしてスタートしています。

通常、株式などの売却益や配当金には20.315%の税金がかかりますが、新NISAで投資すれば、その利益が非課税になります。

新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が用意されており、併用が可能です。

 枠の種類年間投資枠投資対象特徴
つみたて投資枠年間120万円長期積立に適した投資信託等毎月コツコツ積み立てるスタイル
成長投資枠年間240万円株式や投資信託など幅広い商品自由に投資が可能

これにより、年間最大360万円までの投資が非課税となり、非課税期間は無期限です。

投資を行うには、証券会社でNISA口座を開設し、NISA対象の商品を選んで投資する必要があります。

従来の制度では「一般NISA」と「つみたてNISA」は選択制でしたが、新NISAでは併用可能となったため、ご自身の投資スタイルに応じて柔軟に使い分けることができます。

「つみたて枠だけを利用して堅実に運用したい」「時には個別株にもチャレンジしたい」など、目的に応じて非課税枠を賢く使うことで、将来的な資産形成にも大きく貢献します。

災害や犯罪被害に遭った時の「雑損控除」

災害や、盗難・横領の被害によって住宅や家財に損害が発生した場合に、「損失金額+災害等関連支出額-保険金等の額」(①)が所得の10%を超えるか、「災害等関連支出額-保険金等の額」(②)が5万円を超えると、その超過額分の雑損控除が受けられる可能性があります。

特に災害であれば、ご自身の所得が1,000万円以下である場合に限り、災害減免法による税額軽減と雑損控除を選択することができます。

 雑損控除災害減免法
損害の原因災害、盗難や横領災害
損害程度特になし損害がその財産の時価の2分の1
所得制限なし1,000万円以下
節税効果

いずれか多い金額の所得控除

・上記①-所得×10%

・上記②-5万円

税額の減免

いずれの制度にも所得税・住民税を減らす効果があります。

どちらが有利になるかわからない場合は、税務署や税理士等にご相談ください。

まとめ

サラリーマンに関係する控除や投資・副業による節税について解説しました。

節税に活用していただけるものがあれば幸いです。

税理士中村太郎

いかがでしたでしょうか?

サラリーマンの方でも活用できる節税対策は多くあります。

また近頃多くの方が投資や副業をされています。これらに活用できる節税対策も多くありますので、まずは本記事を読んで節税意欲を高めて頂ければ幸いです。

ABOUT US
新宿の税理士「中村太郎」
税理士業界経験20年超。過去、300社を超える会社、さまざまな業種・企業の税務・財務・融資・補助金申請などの業務を経験してきました。その経験と、士業はサービス業であるという精神から、ご満足頂けるご提案やサービス提供が可能であると自負しております。貴社の真のビジネスパートナー、経営者の方の「右腕」として弊社をご活用下さい。