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車の購入は法人税の節税になる?税金対策と注意点

税理士中村太郎

まいど!西新宿の税理士 中村です!

今回は【車の購入】に着目しました!

車は高価な買い物のため、節税方法として活用することができます。

どういった方法で活用するのか、またその注意点についてご紹介しております!

是非ご一読ください!

車に関する経費は減価償却で計上すると税金対策になる

車は減価償却で経費にする

法人で車を購入した場合、その購入費を経費にするには減価償却が必要です。

減価償却とは、翌年度以降も収益を生み出してくれる固定資産に対し、購入時の費用を翌年度以降の収益にも対応させるため、少しずつ経費にする会計処理をいいます。

車の場合、具体的には車本体や付属品の購入価格、車を取得するためにかかった諸経費の合計額をその車の「取得価額」とし、この取得価額を「減価償却費」として毎年少しずつ経費にしていきます。

減価償却は法人の税金対策になる

減価償却費は経費(損金)になりますので、法人税等の税金対策になります。

少しずつしか経費にならないといっても、固定資産の取得価額は一般的に高額ですから、計上できる減価償却費もそれなりに高額となります。

また翌年度以降、どの年度にいくら経費になるのか予測可能である点においても、税金対策として優れています。

税理士中村太郎

車を購入による節税は、減価償却の計算方法や耐用年数など、気をつけるべきポイントがございます。

節税方法が自社にとって最適な方法かどうか、車を購入すべきかどうかなど、事前に税理士にご相談いただくことをおすすめします。

弊所は節税に強い税理士事務所でございますので、車の購入を検討されている方は是非ご相談ください!

減価償却の計算方法

減価償却費として法人税の経費にできる金額には、固定資産ごとに限度額が存在します。

それを超えた分は、まったく経費になりません。

限度額の計算方法には「定額法」と「定率法」があります。

毎年同額を減価償却費として計算する定額法

定額法の計算方法は「取得価額×償却率」です。

取得価額とは、車本体や付属品の価格、車を取得するためにかかった諸経費の合計額で、基本的に購入時からずっと変わりません。

つまり、定額法による減価償却費は毎年同じ額になります。

  • 普通自動車
  • 取得価額300万円
  • 耐用年数6年(定額法:償却率0.167)
期首簿価減価償却費
1年目300万円50万1,000円
(300万円×0.167)
2年目249万9,000円50万1,000円
3年目199万8,000円50万1,000円
4年目149万7,000円50万1,000円
5年目99万6,000円50万1,000円
6年目49万5,000円49万4,999円
  • 耐用年数を過ぎた後も使用する場合、簿価は残り1円になるよう調整します。
  • 耐用年数や償却率は後半部分で解説します。

償却率が一定の割合で減少するように計算する定率法

定率法の計算方法は「未償却残高×償却率」です。

未償却残高とは「取得価額-それまでの減価償却費」のことです。

毎年一定の割合で償却額が減少するため、最初の減価償却費がもっとも多くなります。

  • 普通自動車
  • 取得価額300万円
  • 耐用年数6年(定率法:償却率0.333)
期首簿価減価償却費
1年目300万円99万9,000円
(300万円×0.333)
2年目200万1,000円66万6,333円
(200万1,000円×0.333)
3年目133万4,667円44万4,444円
(133万4,667円×0.333)
4年目89万223円29万7,334円
(89万223円×改訂償却率0.334)
5年目59万2,889円29万7,334円
(89万223円×改訂償却率0.334)
6年目29万5,555円29万5,554円
  • 耐用年数を過ぎた後も使用する場合、簿価は残り1円になるよう調整します。
  • 上記は円未満の端数を切り捨てていますが、切り上げでも問題はありません。
  • 耐用年数や償却率は後半部分で解説します。
(参考)改訂償却率について

定率法の場合、同じ償却率をかけ続けても減価償却費が一定割合で減少するだけで終わりがありません。そのため減価償却費が「償却保証額」(取得価額×保証率)を下回る年度から「改訂償却率」で計算した額に切り替えます。

耐用年数6年の車の場合、保証率は0.09911、改訂償却率は0.334で、4年目から切り替わります。(上記の表を参照)

車の購入で効果的に税金対策をするポイント

早く税金対策をしたいときは「定率法」

法人の場合、特に手続きをしなければ、車の減価償却の方法は「定率法」になります。

定額法と定率法による減価償却費の違いを、さきほどの例で比較してみましょう。

  • 普通自動車
  • 取得価額300万円
  • 耐用年数6年
定額法定率法
1年目501,000999,000
2年目501,000666,333
3年目501,000444,444
4年目501,000297,334
5年目501,000297,334
6年目494,999295,554
合計2,999,9992,999,999

どちらも法人税の経費にできるトータルの額は同じですが、定率法は1年目の節税効果が特に高いです。

急激な売上増が見込まれる法人はもちろん、法人税等の負担が気になり始めて「何か税金対策を始めたい」という法人にもおすすめできます。

売上高が伸びている場合、2~3年目以降は別の税金対策も考える必要があるかも知れません。

しかし、減価償却で税金対策をしている法人なら、毎年、減価償却費によってあらかじめ経費になる額がほぼ確定している状態ですから、別の税金対策をするにしてもどのくらいの規模感で行うべきか判断しやすいという利点があります。

車の償却方法を定額法に変更する方法

車の償却方法を定額法にしたい場合、税務署への手続きが必要になります。

法人の設立1期目から定額法にする場合は届け出ればよいのですが、途中から変更する場合は承認申請となります。

3年内の変更など、頻繁に償却方法を変える行為は承認してもらえません。

  • 法人の設立1期目から定額法にしたい場合

(参考)国税庁

httpss://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_21.htm

  • 途中から定額法にしたい場合

(参考)国税庁

httpss://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5407.htm

会計期間の初めに購入すると節税効果が高い

減価償却費は「月割り計算」が必要になります。

たとえば12月決算法人が1月中に車を購入した場合、初年度から12か月分の減価償却費を経費にできますが、これが11月中だった場合は「2か月/12か月」で初年度は6分の1しか経費になりません。

  • 普通自動車
  • 取得価額300万円
  • 耐用年数6年(定率法:償却率0.333)
定率法
(初年度:期首から使用開始)
定率法
(初年度:11か月目から使用開始)
1年目999,000166,500 (※)
2年目666,333943,555
3年目444,444629,351
4年目297,334419,777
5年目297,334280,832
6年目295,554280,832
7年目0279,152
合計2,999,9992,999,999

(※)300万円×0.333×2月/12月

減価償却によって経費になるトータルの額は変わりませんので損をするわけではないのですが、早めに行動したほうが早く節税効果を得られるということです。

なお、減価償却費は事業のために使用を開始したときから計算を開始します。

このことから、税務調査では車の「納車日」を見られることがあります。

もし納車日が購入日の翌月以降になった場合は、納車日を取得年月日として計算するようにしましょう。

耐用年数の長さで新車より中古車の方が節税効果は高い

減価償却の償却率を決める耐用年数は、新車よりも中古車のほうが短くなります。

つまり、中古車は新車よりも減価償却が早く終わり、その分、一年あたりの減価償却費が多くなるということです。

特に耐用年数2年の中古車を取得した場合、定率法なら償却率は「1.000」になります。

期首に取得すれば、すべてその年度の経費にできるということです。

これに該当する中古車として、4年落ちの普通自動車があります。

新車の耐用年数の場合

減価償却費を計算するための耐用年数は、資産の種類や用途に応じて法令で定められています。

新車の場合、その耐用年数と償却率は下記のとおりです

車の種類耐用年数定額法定率法
軽四自動車4年0.2500.500
普通自動車6年0.1670.333
貨物自動車
(ダンプ式でないもの)
5年0.2000.400
貨物自動車
(ダンプ式)
4年0.2500.500

上記のとおり、普通自動車なら耐用年数6年で、定額法なら償却率0.167、定率法なら償却率0.333になります。

さきほどの定額法・定率法の計算例は、この償却率で計算したものです。

ちなみにこの記事では省略しますが、運送事業用やレンタカー用の車には、さらに短い耐用年数が定められています。

これらは車の走行そのものが収益に直結するため、より早く収益と対応させるために区別しているものと考えられます。

中古車の耐用年数の場合

中古車の耐用年数の計算方法

中古車の耐用年数は下記のどちらかになります。

  • 使用可能期間として合理的に見積もった年数
  • 簡便法によって計算した年数

実務では見積もりが困難であるため、簡便法を用いることが多くなります。

簡便法の計算式

(新車の場合の耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

すでに耐用年数を過ぎてしまっている中古車の場合は「新車の場合の耐用年数×20%」で計算します。

耐用年数に1年未満の端数があるときは切捨てますが、2年未満になるときは「2年」とします。

中古車の耐用年数とその償却率

中古車の場合、耐用年数が6年を下回ることがあります。

6年以下の償却率は下記のとおりです。

耐用年数定額法定率法
2年0.5001.000
3年0.3340.667
4年0.2500.500
5年0.2000.400
6年0.1670.333

4年落ちの中古車(普通自動車)の計算例

  • 取得価額:300万円
  • 耐用年数:2年(※)、定率法(償却率1.000)

(※)(6年-4年)+4年×20%=2.8年→2年

  • 期首から使用開始
  • 減価償却費

300万円×1.000×12月/12月=300万円

減価償却なしで法人の税金対策になる車の経費

取得価額に含めなくてよい費用

車の取得価額は減価償却によって経費にしなければならず、この取得価額には、付属品などオプション費用や納車費用など一部の費用も含めなければなりません。

これに対し、取得価額に含めず購入年度の経費にできるものもあります。

取得価額に含めなくてよいものの例
  • 自動車税
  • 自動車重量税
  • 自動車保険料
  • 自動車取得税
  • 検査登録費用
  • 車庫証明費用

自動車取得税、検査登録費用、車庫証明費用は取得価額に含めても構いません。

※リサイクル関係の費用は車の取得価額には含めませんが、車とは別に資産(例:リサイクル預託金など)に計上します。廃車時のリサイクル費用を業者に預けているもので、自動車を手放す際に取り崩します。

ガソリン代や駐車場代は別個に経費にできる

車を購入した後に発生するガソリン代、駐車場代、保険料、車検の費用など車のために発生する日常的な維持管理のための費用は「車両費」などとして、発生した年度の経費にできます。

カーリースやサブスクリプションなら減価償却なしで税金対策ができる

車をカーリースやサブスクリプションで使う場合、法律上は賃貸借ですので減価償却の対象になりません。

そのため、代金は基本的にすべて経費にできます。

ただしカーリースの契約内容によっては「法人税法上のリース取引」に該当し、通常とは異なる償却が必要になる可能性があります。

契約する前に顧問税理士に相談しておくことをおすすめします。

まとめ

車の購入による税金対策について、減価償却費の計算方法や中古車のメリット、期首購入のメリット、車関係で経費にできる費用などを解説しました。

車の購入は法人の税金対策になります。

特に中古車は市場が活発で流通している商品の年式や価格帯のバリエーションが豊富なので、税金対策に活用しやすい投資対象です。

税金対策の選択肢に入れておきましょう。

税理士中村太郎

いかがでしたか?

車を購入される方は多くいらっしゃるかと思います。

購入した際には、きちんと節税対策に活用できるよう、理解を深めることが必要です。

対策を検討される方は、税理士にご相談下さい。

ABOUT US
新宿の税理士「中村太郎」
税理士業界経験20年超。過去、300社を超える会社、さまざまな業種・企業の税務・財務・融資・補助金申請などの業務を経験してきました。その経験と、士業はサービス業であるという精神から、ご満足頂けるご提案やサービス提供が可能であると自負しております。貴社の真のビジネスパートナー、経営者の方の「右腕」として弊社をご活用下さい。