Amazonはすでにインボイス制度に対応済み!
Amazonではさまざまな事業者が商品の出品をしており、Amazonユーザーとの売買を仲介しています。
しかし、令和5年10月からはじまったインボイス制度において、事業者が課税仕入れから仕入税額控除を適用するには、原則として相手から交付されたインボイス(適格請求書)の保存が必要になります。
では、Amazonユーザーが事業用の物品を購入した場合、インボイスを交付してもらえるのでしょうか。
これについてはさすがのAmazonで、すでにインボイス制度に対応済みです。
出品者が番号登録していれば自動でインボイスを交付
Amazonで商品を出品する販売者が、あらかじめAmazonにインボイス番号の登録作業をおこなっていれば、Amazonユーザーに交付される書類は自動的に適格請求書に変わります。
つまり、ユーザー側で何か特別な手続きをしなくても、インボイスを受け取ることができます。
個人アカウントでも問題なし
「私は個人アカウントだから受け取れないのでは…」と心配している方もいらっしゃるかもしれませんが、問題ありません。
Amazonでは、買い手側が事業者であるかどうかにかかわらず、販売者があらかじめAmazonにインボイス番号の登録作業をおこなっていれば、適格請求書を発行してくれます。
つまり、個人名アカウントでもAmazonビジネスアカウントでも、インボイス対応は可能だということです。
ただし、後者の「Amazonビジネスアカウント」には、単に適格請求書が発行されるだけでなく、より利便性の高いインボイス関連の機能が提供されています。
Amazonにおける4つのインボイス対応機能を解説
Amazonにおける4つのインボイス対応を解説します。
このうち3つは、Amazonビジネスアカウント限定のものになります。
支払い明細書が自動的に「適格請求書」に
従来からAmazonを利用して物品を購入すると、領収書と支払い明細書をそれぞれダウンロードすることができるようになります。
インボイス対応が行われているのは、「支払い明細書」です。
販売者がインボイス番号をAmazonに登録していれば、この「支払い明細書」の右上が「適格請求書」に変わり、内容もインボイスに対応して、発行者欄に「T」から始まる13桁の登録番号(法人の場合は法人番号)が記載されるようになります。
なお、Amazonに番号の登録をしていない販売者(一般的にはインボイス発行事業者でない販売者)かた交付される請求書は、これまでどおり「支払い明細書」が交付されます。
この「支払い明細書」については、これまでどおり区分記載請求書にあたると考えられます。
【ビジネスアカウントのみ】媒介者交付特例による交付
ここからは、Amazonビジネスアカウントのみの機能となります、「媒介者交付特例」による交付を解説いたします。
「媒介者交付特例」とは、出品者から販売の委託を受けた者(この場合、Amazon)が、出品者であるインボイス発行事業者に代わってインボイス交付をする特例のことです。 Amazonによると、Amazonセラーセントラルに登録番号を登録した販売者からの購入が、この特例の対象になるとしています。そのため、Amazonから交付されるインボイスには「普通の適格請求書」と「媒介者交付特例による適格請求書」が存在することになりますが、買い手にとってはどちらでも仕入税額控除を適用することができます。
媒介者交付特例によるインボイスの場合、販売者自身の登録番号の代わりに「アマゾンジャパン合同会社」の登録番号のみが記載されます。そのため、買い手において番号が適正かどうかを確認するための事務負担を多少軽減できるかもしれません。
尚、Amazonと販売者の両方の番号が記載されている「代理交付」による請求書もございます。この場合は、販売者自身の登録番号を確認する必要があると考えられます。
【ビジネスアカウントのみ】購買ルールの追加
Amazonビジネスアカウントのみの機能になりますが、「購買ルール」に「制限ルール」や「絞り込みルール」を追加できるようになっています。
Amazonの説明によると「制限ルール」は、適格請求書を発行しない販売者からの購入を制限する機能とされています。インボイス発行事業者以外からの購入時に、承認フローなどが表示されるようになる機能です。
「絞り込みルール」の場合は、適格請求書発行対象からの出品物のみを購入する設定であると説明されています。複数名の社員でアカウントを利用しており、適格請求書が発行されない購入を絶対に避けたい時などは、「絞り込みルール」が便利に使えそうです。
【ビジネスアカウントのみ】商品詳細ページでのバッジ表示
Amazonビジネスアカウントのみの機能になりますが、適格請求書が発行される場合に、その商品の詳細ページ(金額・お届け日時・カートに入れるなど欄)に「適格請求書発行対象」という文言が表示されるそうです。
購入を避けたい場合は、前項の購買ルールの設定をしたほうが良いでしょう。
Amazonのインボイスで仕入税額控除を受けるには
Amazonを利用した取引にて、仕入税額控除を受けるには下記の点に注意が必要です。
インボイス発行事業者かどうかを確認する
交付されたインボイスの登録番号が適正なものか(登録番号が有効かどうか)を、国税庁の公表サイトで確認します。
確認する頻度は、取引の態様などから買い手の判断に委ねられています。
(参考)国税庁:適格請求書発行事業者公表サイト
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/
インボイスの保存・帳簿への記載
仕入税額控除を受けるには、必要事項を帳簿に記載し、交付された適格請求書を保存する必要があります。
クレジットカードの利用明細の保存だけでは、仕入税額控除の要件を満たさないため、Amazonから書類をダウンロードして保存する必要がある点にご注意ください。
帳簿の記載事項については、インボイス制度の開始前(区分記載請求等保存方式)と同じです。
・取引相手
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象であればその旨)
・支払対価
Amazonのインボイス対応の注意点
Amazon取引のインボイス対応について、下記の点に注意ください。
個人アカウントでインボイス発行事業者を事前に区別する方法
個人アカウントの場合でも、相手の法人名が判明すれば、国税庁の「法人番号公表サイト」で法人番号を調べて、その番号を国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」に入力することにより、インボイス発行事業者かどうかを調べることも不可能ではありません。
法人のインボイスの登録番号は、「T+法人番号」が使用されるためです。
ただし、法人が特定できない場合や、相手が個人事業主である場合は、この方法は使えません。
(参考)国税庁:法人番号公表サイト
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/
(参考)国税庁:適格請求書発行事業者公表サイト
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/
電子帳簿保存法との関係
Amazonから交付されるインボイスや、クレジットカード会社からWeb上などで交付される利用明細は、電子帳簿保存法においてデータで保存をする必要のある「電子取引データ」に該当します。
原則的には、令和6年1月1日からすべての事業者が、これらを電子帳簿保存法における一定の方法でデータ保存をしなければなりません。
ただし、税務職員によるダウンロードの求めに応じられるなど「猶予措置」の対象要件を満たす事業者であれば、単にデータで保存することも違反にはなりません。
インボイス制度と電子帳簿保存法では、保存書類に若干の違いがございます。
例えば、仕入税額控除を適用するためだけなら、データで保存することは必須ではありません。
しかし、ここを分けて対応することにあまりメリットがございません。
基本的には、データでもらったものはデータで保存。その上で、請求書関係のみ適格請求書の記載事項を確認することを心掛けていただければと思います。
インボイスでなくても経過措置がある
Amazonで、適格請求書の交付を受けられなかったとしても、2029年9月30日までは、経過措置の対象になります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
インボイス対応だけでも大変な業務です。そこにAmazonの仕様や電池帳簿保存法のルールによって、より複雑になってきます。
早いうちに取引があったときの会計処理と保存ルールを固めておくことが大切です。
また、専門家と相談し日々の業務において注意すべき点を確認することも大切です。
弊所でも随時ご相談を承っておりますので、お気軽にお問合せください。
(※)Amazonのインボイス対応は執筆時(R5.12.27)に確認したものとなります。今後、ルールが変更・改定される場合がございます。ご注意ください。
まいど!西新宿の税理士 中村です!
皆様は普段Amazonは利用されておりますか?
様々な品物を気軽にネットで注文でき、早いときには翌日に手元に届く。
非常に便利なこのサービスを事業で使用している方も多いことでしょう。
令和5年10月から開始されたインボイス制度、Amazon利用においてどういった影響があるのでしょうか。
是非本記事にてご確認ください。